学校法人 和田学園  認定こども園 青竜幼稚園

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前園長日記/和田節子ライブラリー

『思い出さがし』 161・集団の中の子ども③

家族の団結力と地域集団の教育力がしっかりつながり合った時代。乳児院の中でヘルパーとして働いていた方が十数年ぶりにお会いした時、娘の結婚を期に辞めたと聞き、赤ちゃんにとってはどんなに寂しいことだろうと思いました。「でもね、孫守りをしてもう1回親の勉強したいんです。親の大切さをイヤ程知らされましたもの。」「えらいねえ、学び直しですか。」と言うと「世の中が変わり、生活様式も変わったけど、生まれて来る赤ちゃんは真っ白のままなのに迎える大人達の身勝手さが赤ちゃんをダメにするんだと思うことばかりでした。ベビーサークルの中でつかまり立ちして母親をひたすら待つ赤ちゃんや幼児は体で時間を覚えていて、帰りの遅い母親を見ると笑顔で抱きついて嬉しくて大泣きしているのに疲れた表情で面倒臭そうに子どもを横抱きにして帰る若い母親を見ると、せめてわが孫だけはと思ってしまうんです。」切々と語るヘルパーさんの熱い思いはよくわかります。どんなに幼い子でも生きることに懸命なので母の帰りの早い遅いを身体で感じとるのです。母が生理の時を乳児は見抜くと言っておられました。乳児の集団は生きようとする力がみなぎっていて、あらゆることに敏感で生理時の母のイライラを読み取って、いつもより大人しくなると聞きました。そんな風に見つめるヘルパーさんもえらいと思います。
2015年03月20日 23:13

『思い出さがし』 160・集団の中の子ども②

サークルベッドの中で少し微笑んでいる赤ちゃんを見た時「幸せそうですね。」とヘルパーさんに話しかけると「そうです。この子は3人の年の離れたお姉さんがいて、いい家族の中で育ったんです。お父さんが仕事中の事故に合って病院へ入院しているので2週間だけお預かりすることになったのです。今日で4日目なのに適応力がビックリです。」「扱いやすいお子さんなのですね。」というと、「それってとても大変なことですよ。わずか4日目でも愛されているから安定感があって、よく眠り、よく飲んでみんなに可愛がられています。」聞くと3人のお姉さんは中1、小5、小2のお世話好きな子達で中学1年のお姉さんは「私達、若草物語の4姉妹です。よろしく。」と言って笑顔で夕方に妹をつれて帰って行くそうです。きっと3人のお姉さん達が食事を作り、子守りをし、お父さんの退院を待っているのでしょう。近くに住むお婆ちゃんも毎日来て下さるのですが、小さなお菓子屋さんでお店を空けることが出来ないので3人の姉達は力を合わせて留守を守っているとのこと。随分前のことで、まだまだ地域社会が、その教育力を持っていた時代なので地域集団の力が支えた時代だったのですね。赤ちゃんの世話をする姉達を温かく見守る近隣社会の中で家族は試練を乗り切り、4姉妹の4番目の赤ちゃんの心は安定し、苦しい時期を乗り切ったのです。
2015年03月13日 23:56

『思い出さがし』 159・集団の中の子ども①

早くから集団の中で長時間過ごす幼な子を預かっている乳児院あります。そこでヘルパーをしている方にお話を聞いたことがあります。私も生後6週間後には母に子どもを預けて働いていたので、とても興味深く聞きました。生後6週間後の赤ちゃんでも最初はいつもと違うことに驚き、戸惑い、不安定でぐずりますが、3日もたつと養育者(保母さん)との相性が良いとすやすや眠るそうです。というより赤ちゃんが相手に合わせているのではないかと思ったと言います。でもある日、いつもの保母さんでない人に抱っこされた赤ちゃんは終日泣き続け、その人の声を聞いただけでも火のついた様に泣くので、私が担当することになったとのことでした。「誰でもいいのでなく、最大公約数を求めているのですね。」と笑っておられましたが、まだ若かった私には重い言葉でした。赤ちゃんが早くから声を聞き分けることは知ってましたが、抱っこされることを拒否する赤ちゃんは、特別な敏感性を持った子ではと思っていましたが、何人もの方が赤ちゃんの敏感さを話してくれました。母親の1対1の関係のみで育つ子と、日替わり、週替わりで担任が変わる生活の中で自己主張する赤ちゃんを思うと切なくなります。聞きなれた声、抱きなれた腕の中等、心地よさを早くから身につけていく赤ちゃんは、生きるために懸命に自己主張しているのだなと感動した日を思い出します。
2015年03月06日 23:55

『思い出さがし』 158・育つ環境④

56年間に沢山の一卵性双生児を見てきました。A君、B君のようなはっきりした例は1組だけだったので、印象が強くいつまでも忘れることがありません。4年生になって私は連続して担任だったのですが、B君は担任が変わり男性の先生でした。B君は成績優秀で決まりを守る模範生でしたが、男の先生にとってはもどかしい所があったのでしょう。男のグループに入れたいと願いドッヂボールの係として活動させようと考えたようです。真面目な子で懸命に考え係の仕事をしたのが負担になったのでしょうか、登校をしぶる様になりました。兄の担任として弟も同じエネルギーを持っているだろうと想像していましたので信じて待ってやりたいと思いました。B君の母親は自分のせいだと思うのか、急にB君を外の行事に連れ出すようになりました。並んだり待ったりすることは少しも気にしないB君は、やんちゃな子が静かになるのを待ったり、きちんと並んで集まれない子の多い中で、ひたすら指導者の指示を待って動いていたといいます。その健気さを誉めてあげたいと思ったのですが、母は自分の子育てを反省し、親であることに自信を失い始めたのです。何となく元気のない母と子を見て、1、2年の担任だった私を思いだし「一人っ子はやはりだめですね。親が神経質になってしまって、家の中が暗くなってます。」と話に来られました。「氏より育ちですかね。」と肩を落とされたので「確かに環境は大きな影響を与えます。ご両親は自分達の生活の中でB君を愛情深くお育てになったと思います。見守ってあげればきっとあの子らしい世界を自分で作り出して行きます。自信を待って下さい。見守る愛に子どもは必ず応えてくれますから。」二人はすてきな青年になりました。
2015年02月27日 23:28

『思い出さがし』 157・育つ環境③

「2人の育ちを見ているとどんな結果になるか分かりませんが育ちを見ていると一卵性の双生児とは思えないので両方の家族が、それとなく出会う場を多くしてお互いに2人の様子を知ることが必要な気がします。」と答えて分かって頂きました。相談に見えたのは2人の担任の先生の評価が違うことに戸惑って話し合った様です。「静と動」「明と暗」の両極に分かれたことについて納得できないとB君の両親は担任に疑問を投げかけたということを後で知りました。どちらが良いとか悪いとかではなく、育った環境の違いだということを分かってもらいたいと思いました。A君は忙しい人の出入りの多い家庭で育ち、他人との交流もあり、思いやりのある2人の兄と明るくて人付き合いの豊かな両親のもとで大らかに育ったのです。一方、B君は生活リズムの安定した家庭で毎日きちんと「お帰りなさい」と優しく迎えてくださる母と静かにおやつを食べる生活、きちんと定刻に帰って来る父親と定時に夕食を食べ、お風呂にもきちんと入ってベッドへ入って眠る生活。時々両親が読んでくれる絵本や物語は心を豊かにしてくれたことでしょう。でも、3年生になると友達との関係が深くなり、友人の家への出入りも楽しく両親への思いを本音で話し合うチャンスも欲しかったのだと思います。そんなことを言い出す年令になったのに静かなB君を見て担任はA君を引き合いに出して心配していたのだと思います。育つ環境の差を見事に見せてくれた2人の兄弟は私にとって大きな学びになりました。
2015年02月25日 23:58

『思い出さがし』 156・育つ環境②

兄をA君、弟をB君と呼んでみることにします。1、2年に出会ったB君と3、4年に出会ったA君は、母の突然の死により生後すぐに父親の兄夫婦と母親の妹夫婦の元に引き取られ育てられることになったといいます。兄夫婦には2人の男の子がいて、妹夫婦には子どもができなかったと聞きました。兄夫婦にA君、妹夫婦にB君が預けられたようです。夫婦で理髪店を開いている所にA君、夫が公務員で妻が専業主婦の所にB君。今思い出しても頭が変になるような運命的な出会いです。男の子が2人もいて忙しい両親の元でのA君は、元気で小さなことには気を使うタイプでなくおおらかな子でした。3年生という年令かグループ意識を高め、リーダーとしての素材が伸びていったのかも知れません。2人の兄は8才と6才の差があり、小さな弟としてきっと可愛がられて育ったのでしょう。人の話をよく聞き真剣に答える誠実さもあり、ガサツだけど人気者でした。一方のB君の情報を聞くと、手のかからない優等生で、女の子の人気抜群。両親の自慢の子だとのこと。心配なのは男の子と交わることが少なく静かすぎるとのことでした。4年生になった時、両方の家族は2人に本当のことを話したいと相談に来られました。そのわけを聞くと、高校へ進学した時、真実を知って苦しんで旅に出た子がいると聞き、早い方が思春期になるより良いと思ってということでした。
2015年02月13日 23:56

『思い出さがし』 155・育つ環境①

教育に関する仕事を始めて56年。様々な子ども達とその家庭に出会ってきました。特に双子の兄弟が、母親の産後が悪くて亡くなった時、別れ別れに育った双子の兄と弟を別々の学校で出会うことになりました。一卵性なので顔形や体格はよく似ているのですが、表情や身振り、話し方が違うので接した先生方は姓も違うのでわからない人が多かったようです。1年2年と持ち上がった弟と、異動で別の学校へ行った時に出会った兄とは双子とは思えない存在でした。3年4年と連続だったので2人の違いがよく分かり、ご両親と話しをしましたが、生まれた時の状況を知っていただけに2人が一卵性双生児だと分かった時は不思議な思いでいっぱいでした。弟は真面目で礼儀正しく、宿題を忘れたことがなくしかも控え目でしたがテストはいつも100点で静かな少年でした。一方兄と呼ばれる少年は、明るくて活発、面倒見が良くて人気者、リレーの選手ですが忘れん坊で、夏休みの宿題を9月1日の前日にやってのける子でした。絵が上手で特に動物の絵には迫力がありました。弟の方も花の絵が好きでセンスの良い絵は女の子の人気の物でした。似た所もあるのですが、まるで別人のような一卵性双生児は初めてでした。よく考えてみるとご両親が全く正反対の生き方をしていることに気付きました。連続して担任をしたことで分かったことでした。
2015年02月06日 23:31

『思い出さがし』 154・立ち直る力④

A君の思いがけない力強い意志表示でクラスの様子が変化し始めました。数人の子がメッセージをくれました。「A君すごい。」大声に弱いA君がいざとなったら立ち上がるんだと拍手しました。「大声が聞こえるといつも先生の横にくっついたA君を見ていたので少しバカにしていました。でもボクのほうがバカだったのかも知れません。」「私は4年生の時からクラスが一緒ですが、田んぼを手伝っていることは知っていましたが、働く両親から学んだことがいっぱいあるなんて、大人みたいなことを言うA君にびっくりしました。」「よーお二人さん!」とはやし立てたO君からも届きました。「先生、昨日、最後に先生がありがとうと言って2人の手を左右の手で同時に握ったのを見てうらやましかったです。そして嬉かったです。きっと『O君いい加減にしなさい。』と長々とお説教されると思っていたので学校ってやっぱりいいなと思いました。家だと両親からお説教ばかりで、ちょっと頑張ったなと思っていてもそんなの当たり前だろうと言われるとやる気がなくなります。Nさんのこと優しい子なので憧れています。ナイショ!」O君らしい終わりかたのメッセージでした。思ったことを言葉にしたり文章にしたりして交流できる子は、立ち直る力を持っていると思います。A君とNさんからの連名のメッセージでした。「思ったことを表現し、それから受け入れてくれるクラスの仲間、説教せずに感動してくれる先生にありがとうです。」子どもの内蔵する力を信じたいといつも思っています。
2015年01月30日 23:48

『思い出さがし』 153・立ち直る力③

9月の初め頃、疲れが重なったのでしょう、終わりの会には気力もなくなり当番の明日のお知らせを聞きながら寝入ってしまった様です。「明日の当番はA君とNさんです。よろしくお願いします。」という呼びかけに返事はなく、Nさんの声だけが聞こえました。NさんはA君の片腕と引き上げながら「頑張ります。」と答えたのです。2人の様子を見て、はやし立てたのはO君です。それを見て数人の仲間達が、はやし立てました。「居眠り坊主」「居眠り坊主」の声は波の様に広がって、うねりの様にかえって来ました。私はA君がビックリした顔で何が起こったのか分からず、しばらくまわりを見渡したのを見て声をかけようとしました。その時、O君が大声で「ヨー!お2人さん!」と叫んだのです。Nさんが両手で顔を覆って泣き出しました。が、一瞬大声にひるんだA君が「やめろ!!」と今まで聞いたこともない声で言い放ちました。そして、「Nさんをからかうのはやめろ!悪いのはボクや。Nさんは前々から居眠り坊主と言われているボクのことを助けてくれていたんや。ボクが毎日朝5時頃から両親の手伝いをしていることを分かっていてくれていたんや。人間として仲間として素晴らしい人やと思う。ボクは両親の働く姿を見ていろんなことがわかったんや。Nさんありがとう。」私は静まり返った教室で、A君とNさんの手をとって「ありがとう。」というだけでした。
2015年01月23日 23:44

『思い出さがし』 152・立ち直る力②

世代交代がうまく行かない家庭の中で一番苦しむのは次世代の長です。農家の長男に生まれた青年A君は私が6年生を担任した時の優しい男の子でした。大声に弱くて怒鳴り声が聞こえると青ざめて、すぐ私の横に飛んで来る子でした。春と秋の初めの農繁期は仕事を手伝っているのでしょう、時々居眠りをする子だったのですが、その姿が可愛くて黙って見ていました。時々、鉛筆を指からポロッと落として、ハッとして又、握り返して数文字書くのですが、すぐ眠気がやって来るのでしょう、時々、鉛筆が床まで落下して小さな音を立てました。慌てて周りを見渡す姿は彼の人柄の良さをにじみ出していました。それは決まって国語の時間の漢字練習の時でした。そんな彼を見つけた後ろの席のO君が「居眠り坊主」と小声で舌打ちしながら言う声が何人かに伝わりクスクスと笑い声が聞こえだした頃、チャイムが鳴り長休みの時間になりました。A君の隣りに座っていたNさんはA君が田んぼの手伝いをしているのを知っていたのでしょう、「休み時間20分あるし、ゆっくり寝とった方がいいよ。」と声をかけました。両手を前に出して深呼吸をして彼は「ありがとう。」と言い机にうつ伏せになり体を震わせました。泣いていたのです。Nさんのさり気ない優しさが嬉しかったのでしょう、弱い様に見えても優しさをしっかり受け止める子は立ち直る力があることがわかる事件が起きました。
2015年01月17日 23:50

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