『思い出さがし』 191・変わった子③
80年近くも生きていると色んな子どもに出会います。小さい頃から礼儀正しく、自我を強く出すこともなく、静かに遊びを見ているO君は誰からも褒められる素敵な少年でした。卒園した保育園では、代表でお別れの言葉を述べたというだけでなく、謝恩会ではチューリップの花を歌う時、伴奏をしたと言うのです。そんな華々しい活動をした子には見えない優しい1年生でした。しっかり前を向いて話も頷いて聞く姿は見事でした。2時間目と3時間目の間に20分の長休みがある小学校では、授業中には見られない子どもや子ども同士の関係性が見えるので、私はその時間を大切にしました。オセロを楽しんだのも将棋を覚えたのも折り紙、あやとりを続けたのも、こうした時間でした。声がかかるとすぐに行動し、順番を決めて子ども達と遊びました。3、4年生になるとドッジボールが盛んで対抗戦での組分けで子ども関係がよく見えました。ボールを送る相手を選んで自分のチームが勝つ様にする子と好きな子にだけボールを送る子もいました。1年生の時のO君が4年生になってドッジボールをしている姿を見ましたが、1年生の時の静かで優しい顔ではなく、ボールを自分の方へ送れとばかりに大声を上げて試合中にボールを1人占めする姿にびっくりしました。私は3年生担任だったので運動場の空き場所を何とか確保して男の子達とドッジボールをしていたのでO君のすごい大声にビクビクしながら彼のボールを横取りする姿に心を痛めていました。
2015年10月30日 23:55