学校法人 和田学園  認定こども園 青竜幼稚園

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前園長日記/和田節子ライブラリー

『思い出さがし』 201・うさぎのランちゃん②

小さなランは絵本好きなSちゃんの小学校で飼育していたウサギ小屋で生まれた子ウサギでした。生まれた時から右耳の先が折れていて、とびはねる力もあまり強くなく、十分なエサにありつけなかったらしく、他の子ども達より一回り小さかったのです。そんなランをSちゃんは、ひそかにランと名付けて毎日飼育小屋へ通っていたのです。ランと名付けたのは「がんばって走れ!走れ!」という励ましの思いを伝える名前だったのです。休み時間になると必ず小屋の中を心配そうに眺めているSちゃんを見ていて下さったのは教頭先生でした。長休みの時間、ジッと小さな子ウサギを見て「負けちゃだめ!ちゃんと食べなさい、ほら早く取らないと横取りされるよ。」と声をかけるSちゃんを見ていた教頭先生が声をかけました。「あの小さい子の名前はランちゃんでいうの?」ビックリしたSちゃんは恥ずかしそうにうつむいてモジモジしていました。「いい名前だね。ランちゃんで呼んでみようね。ランちゃん。」するとみんなはビックリして自分で掘った穴の中へ逃げ込んだということです。でも、1匹だけランちゃんがウロウロしていたのです。Sちゃんは思わず「ランちゃん、ランちゃん大丈夫、おいで。」と優しい声で呼びかけました。すると、どうしたことでしょう、ランちゃんがSちゃんの所へやって来たのです。「ああ、神様ありがとう。奇跡が起きた」と絵本に書いてありました。どんなにか嬉しかったことでしょう。その上、教頭先生から緑色のエサをもらってサクの間からランに直接エサを渡すことができたのです。
2016年01月08日 23:58

『思い出さがし』 200・うさぎのランちゃん①

明けましておめでとうございます。 先月より読書のことを話題にしましたが、何十年前のお正月の年賀状に混じって小さな手作りの絵本を送ってくれた子がいました。うさぎを飼っていた時のこと、シャワーをしてあげた後、死んでしまったことを寂しそうに愛情いっぱいに記してあった小さな絵本でした。ランちゃんと名付けられた子うさぎは、右耳の先が折れ曲がった赤い目をした真っ白なうさぎだった様です。幼稚園を卒園して3年位経っていたでしょうか、転勤した関西地方や小学校へ通っていたのでしょう3年生になってとても悲しいことに出合い涙を流すだけでは、ランの生きていた思い出が自分だけのものになってしまうと思い、『沢山の絵本を読んで下さった幼稚園の園長先生にランちゃんの生きていた頃のことを知ってもらい、一緒にランのことを思ってほしい』と同封の手紙にきれいな字で書いてありました。嬉しかったです。今の青竜の子ども達もそうですが、絵本を見ている時の目の輝きは素敵です。それは、心の輝きでもあります。昔の子ども達もそうでした。シーンとなり画面を見つめる子どもの純な息づかいが伝わって来ます。読み終わると、ため息や感情の波が押し寄せて「もう一回!」とアンコールがかかることが多かったです。その中の1人に手紙をくれた女の子がいました。そういえば、『かたあしだちょうのエルフ』を読んだ時泣いた子だったなあと思い出しました。絵本好きな子の感性は柔らかく鋭く、そして純粋です。小さなランちゃんの話をお伝えしましょう。
2016年01月02日 23:58

『思い出さがし』 199・読書④

私は子ども達が想像の世界を楽しんでいることが分かり、B君が現実の世界を主張している姿がとても心に残りました。想像する力は現実の世界を変化させ発展させると思います。「ライト兄弟が空を飛ぶ鳥達の自由な動きを見て、『空を飛べたらいいなあ』と色々想像し、どうしたら空を飛べるのか試していく間に失敗したり、落ち込んだりしながら研究をしたのではないかな。その研究のもとになった想像力は素晴らしいと思う。そんな想像の世界を大切にして欲しいし、現在のありのままをしっかり知って想像の世界をつなげていく力は人間の持っている大切な力だと思うけど、みんなはどう思う?」と問いかけると「先生、電波って知ってる。私のお父さん、無線機使ってお友達とお話できるんやぞ。糸電話も楽しいけど遠く離れた人とお話できんやろ。それに電線もないがに空気の中に流れとる電気の波をつかまえて話ができるんやて。でもね、時々『ピーギャキュー』って、うるさい音が入って来て、ビックリするけど『あ、また違う電波が入ってきた』なんてお父さん言ってるけど、空気の中に電波があるなんて知らんかった。」「でも、分かる。カミナリがピカッと光るのも電波やろ?」「へえ、面白い。でもオレ頭悪いし想像する方にまわるわ。」いつも皆を笑わせて楽しい気分にさせてくれるH君は、その日からライト兄弟の伝記やフランクリンの伝記などの本をお小遣いから買って来たり、想像力のある少年として年令に合った本を図書室から借りて読むようになりました。
2015年12月25日 23:58

『思い出さがし』 198・読書③

こわい話を聞いて、いたずらっ子は心の奥に「しまった。あんなことせんとけば良かった。バチがあたったらどうしよう」と思っていると思います。いたずらっ子達が顔を見合わせてアイコンタクトを取っているのを見て「かわいいな」と思うことが何度もありました。「先生、コワイ話して!」とせがむ子ども達の中にコワイ話でも、お化けの話をしてほしいという子も多く、コワさの内容が違い、年令と共に枝分かれして行く様です。コワイと言いながら楽しみにしている子の中にいつも何となくシラーッとしている様なB君は頭も良く、礼儀正しく、友だちとトラブルを起こすこともない優等生でした。みんながキャーキャー言うのを聞いて冷やかにしている姿が気になっていました。ある時、浦島太郎の話を何回目かに話した時、突然B君が手をあげて「先生、亀を助けたのは凄いことだけど、亀の背中に乗って海の底まで行ったのに、どうして息が詰まって苦しくなかったのか不思議です。それに、竜宮城に入ったのに着ている物が濡れていないのはどうしてかなと思います。」とハッキリとみんなの方を向いて発言したのです。子ども達の中から「えーっ、何でそんなこと言うんや。これお話やぞ。」「B君、頭良いのに何で、そんなこと分からんがや?」「お話の中では、ブタもタヌキもウサギもカメもちゃんとお話できるんや。」「そうそう、動物も人の言葉を話してお話を分かりやすくするんやぞ。」「そうや、想像して聞くと楽しくないか。」「たしかに海へ潜ったり濡れたりするのは大変やけど、お話として聞けば楽しくないか?ねぇ」とK子さん。子ども達のおしゃべりは続きました。
2015年12月19日 23:56

『思い出さがし』 197・読書②

1年生の担任をした時、朝の会や終わりの会の余った時間を利用して昔話をよくしたものです。その時の子ども達のキラキラした瞳は忘れることができません。時々入れるデタラメ話にも目を輝かせる子ども達に感動しました。「その話、ばあちゃんから聞いたことある。」「知っとる、知っとる。」「もう10回も聞いたよ。」という子ども達は繰り返しの昔話を何度もせがむので、私は花咲かじいさんや浦島太郎や桃太郎の続きを面白く創作して話すと、いつも終わりの会が長引いて習い事をする子に迷惑をかけていました。かちかち山の話は、とても残酷で縁の下に婆さんの骨がある所を話すと、みんな肩をすくめて「こわい、こわい。」と震えていました。でも、昔話は日本だけでなくフランスでも、イタズラ小僧が懲らしめられる話もあります。きっと、いたずらっ子を戒めるための寓話なので、より激しい内容になっているのでしょう。舌切り雀の話も、はさみで舌を切り取られる場面や大きなつづらから蛇やゲジゲジやお化けやドロドロしたものが、いっぱい出て来る話も悪いことをしてはいけませんという先人の願いを伝えたものなのでしょう。世界中にそんな話がいっぱいあるのですが、子ども達を心正しい子に導くための大人達の愛情であり願いなのでしょうね。登場人物は善人と悪人が並んで出て来て必ず善が勝つというストーリーが伝えられています。子ども達の心にそのストーリーは、どう響いているのでしょうか。
2015年12月11日 23:57

『思い出さがし』 196・読書①

生まれて2週間目から絵本を見せたり、昔話を素話で話したお母さんに会いました。すっかり絵本や昔話に出会うこともなく、30才でお母さんになったMさんは産院から退院して来た時、看護師さんが自分の体験として話されたことが、きっかけだったと言います。2週間目から、おっぱいを飲み終わった昼ごろ、自分の気持ちがホッとした時に「むかしむかし、あるところに・・・」と自分の祖母の話してくれた『ももたろう』の話をし始めたと言います。おなかがいっぱいになって、自分の唇をちゅっちゅうと動かして眠る乳児の小さな体に、そっと手を置きながら話してみたそうです。時々、もぞもぞして、あくびをしたりしていた赤ちゃんが、お母さんの方に顔を向けて聞いている様に見えました。小さくて、真っ赤な唇が少しゆるんで来て、母の話をしっかり聞いている様に思い、小声で静かに「ももが川上から『ドンブラコッコ スッコッコ』と流れて来ました。」と語り続けました。「ドンブラコッコ スッコッコ ドンブラコッコ ドンブラコ。」と繰り返している内にいつか自分も聞いたことのあるリズムになって懐かしい日々が思い出されたと言います。わが子を育てるのは自分の育ちを掘り起こすことにつながるんだなぁと思い出していると心安らかになり乳児に寄り添って眠っている自分に気付いたのは体中をもぞもぞさせている赤ちゃんの動きが伝わって来た時だったと言います。子育ては、自分の育ちを掘り起こすことだとの考えは良く分かります。
2015年12月04日 23:56

『思い出さがし』 195・変わった子⑦

幼児から少年そして青年へと成長していく子ども達の心の動きは、とてもデリケートで、その時代に読んだ物語に触発され変化していきます。いつまでも子どもだと思っていた子が自己主張を始めると母親は悲しくなることが多い様です。子が大声をあげる理由を理解する前に感情的になるのでしょうか、反対に怒鳴り返す母親もいます。怒鳴り返すエネルギーに自分の思いをぶつけることのできる子は、日常の生活の中で修復するチャンスがあるようです。でも、最愛の母が悲しい顔をして泣いているのを見ると、とにかく母を悲しませたくないと思い、『ごめんなさい』と言って自分の思いを胸の奥にしまい込んでしまうのです。家では、できる限り自己主張を抑え明るく良い子でいるのが良く分かります。O兄ちゃんのそんな思いを知っているS子の存在はとても大切だと思いました。家で良い子である分だけ、学校では自分をより出すことになり、バランスを取っていたのでしょうね。S子が「先生、O兄ちゃんのこと分かったら、いつも味方になってあげてね。私は黙って見とることしかできんもん。」何と可愛いことを言う子でしょう。私はS子の両手をしっかり握って「2人で応援しようね。」と手の温もりを感じ合いました。4年生の先生にO君のことを聞くことも大切だと思いましたが、S子との約束を守り、2人の秘密としてO君の様子を見守り続けました。心の強い主人公のいる物語を読むO君は次第にセルフコントロールできる子になりました。本を読むことの大切さを知った出会いでした。
2015年11月28日 15:42

『思い出さがし』 194・変わった子⑥

O君の2年、3年の先生にその頃の様子を聞いてみた所、どちらの先生も「とっても躾けの行き届いた良い子でした。4年生の先生からも同じことを聞かれたのですが、随分変わった様ですね。」という返事でした。ただ、3年生の先生が少し心配そうに「時々O君が3学期に入って大声を上げて教室の窓から校庭で遊んでいる子をビックリさせていたことがあります。どうしたのかなと思っていたんだけど、授業中あくびをする様になったのも、その頃で寝不足なのかなと聞いてみたら、本を読んでいたということでした。」「どんな本でしたか?」と聞くと「小公子とか15少年漂流記とか言ってました。」とのこと。3、4年生なら、きっと読むだろうと思う本でした。特に男の子にとって自分の力で他人と力を合わせて自分達の困難を乗り切る物語は、きっと少年の心を掴んだのでしょう。その主人公と自分を比較してO君が何を感じ、どう思ったか、とても気になりました。S子が時々、給食時間の片付け頃、内緒話として話し合ったことがO君を知る手がかりになりました。O君のことを『O兄さん』と呼んで報告してくれるS子の話によると、O君がママに言うことに大声で答えるとお母さんが悲しそうに黙ってしまい、何回か重なると泣いてしまうのだということがわかりました。「ありがとうS子さん。あなたはお母さんが泣いたら、どんな気持ちになる?」と聞くと、「私、悪い子かな?『ごめんね』と言いたくなる。」と私のヒザに手を置いて答えてくれました。
2015年11月20日 23:58

『思い出さがし』 193・変わった子⑤

S子の話は続きます。「先生が1年生の時、O君はいつも私のお兄さんになって私を助けてくれる素敵な男の子やったんに、4年生になってから大声を出すようになってみんなが怖がっているの。でも、私には、とっても優しくて『S子ちゃんがいじわるされたら必ずO兄さんの所に来るんだよ』っていつも言ってくれるの。だからどうして苦しいのか私、分からんがや。」と少し寂しそうに言って昼休みの仲間の所へ急いで行きました。3、4年生はギャングエイジと呼ばれ反抗期でもあります。特に4年生は考える力も強くなり周囲の大人の在り方に疑問を持ち、理不尽さに正論を出すことが多くなります。思い出すとマニュアル通りにすることを大切にしておられたお母さんの優しい厳しさを思い出します。参観日の後、O君の机の中でロッカーの点検をしてOKを出して静かに頭をなでておられた時が何度もあり、本人も満足そうに笑ってスキップをして帰って行く姿が印象的でした。良い風景でしたが、他のやんちゃ坊主たちが「お母さん、今日何や?」「かきやま!」「えーっ、チョコレートにして!」「だめ!贅沢もん、我慢しなさい!!」「ちぇっ。」っと不安そうに言いながらも「分かった、分かった。」と妥協する母子や「ママ、これ持って来て。」体操服を手渡そうとする息子に「何言ってるの!!あんたの体操服でしょ!自分の物は自分で持ちなさい!」と一喝する母子の姿の方が自然で納得できるものだったことを思い出します。
2015年11月13日 23:58

『思い出さがし』 192・変わった子④

O君の投げたボールが3年生の私のクラスの子の所に転がって来ます。すると「オーイ、そのボールのぼくのやぞ。」と突進して来るO君にオズオズとボールを渡す3年生に「早くしろ!」と怒鳴る声は3年前のO君とは別人の様でした。その上、チャイムがなると手にしたボールを高く上げて「オイ、誰か体育館に返して来い!」と言って走って下足箱に運動靴を入れているO君を見て、どうしてこうも変わるのかと肩を落としてクラスへ帰った日のことを思い出します。「先生、どうしたん?頭、痛いが?」「なんか元気ないよ。」と3年生のヤンチャ坊主がそばへやって来ます。「ごめん、ちょっと心配なことがあって心が沈んどるんや。」「へえ、心が沈むと、どこ行くが?竜宮城?」「先生行ってみたいな。」「だめや、ばあさんお断り!!」「そうや、そうや、アハハハ。」私も一緒に笑ってしまいました。「先生!心浮き上がった?」「ぼく釣り竿で釣ってあげる!」「心は魚じゃないぞ。」子ども達の笑い声に励まされて心が軽くなりました。「先生、O君のこと気にしとるか?」と言ってくれたのがクラスでユニークな考えを出すS子さんでした。S子にとってはO君はお兄さんの様な存在だった様です。同じ子ども会で仲良くしているらしく、いろいろ話してくれました。給食が済んだ後、小さな声で話してくれました。「先生、O君ね、良い子でいるのやめるんだって。」「へえ、どうして?」「息するのがひどいがいて。」「O君が言ったの。」「そう、『〇〇しなさい、〇〇はダメよ、どうして分からないの?』って言われて『もうイヤだ!イヤだ!』ってお兄ちゃん叫んでいた。」
2015年11月06日 23:56

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