『思い出さがし』 198・読書③
こわい話を聞いて、いたずらっ子は心の奥に「しまった。あんなことせんとけば良かった。バチがあたったらどうしよう」と思っていると思います。いたずらっ子達が顔を見合わせてアイコンタクトを取っているのを見て「かわいいな」と思うことが何度もありました。「先生、コワイ話して!」とせがむ子ども達の中にコワイ話でも、お化けの話をしてほしいという子も多く、コワさの内容が違い、年令と共に枝分かれして行く様です。コワイと言いながら楽しみにしている子の中にいつも何となくシラーッとしている様なB君は頭も良く、礼儀正しく、友だちとトラブルを起こすこともない優等生でした。みんながキャーキャー言うのを聞いて冷やかにしている姿が気になっていました。ある時、浦島太郎の話を何回目かに話した時、突然B君が手をあげて「先生、亀を助けたのは凄いことだけど、亀の背中に乗って海の底まで行ったのに、どうして息が詰まって苦しくなかったのか不思議です。それに、竜宮城に入ったのに着ている物が濡れていないのはどうしてかなと思います。」とハッキリとみんなの方を向いて発言したのです。子ども達の中から「えーっ、何でそんなこと言うんや。これお話やぞ。」「B君、頭良いのに何で、そんなこと分からんがや?」「お話の中では、ブタもタヌキもウサギもカメもちゃんとお話できるんや。」「そうそう、動物も人の言葉を話してお話を分かりやすくするんやぞ。」「そうや、想像して聞くと楽しくないか。」「たしかに海へ潜ったり濡れたりするのは大変やけど、お話として聞けば楽しくないか?ねぇ」とK子さん。子ども達のおしゃべりは続きました。
2015年12月19日 23:56