『思い出さがし』 194・変わった子⑥
O君の2年、3年の先生にその頃の様子を聞いてみた所、どちらの先生も「とっても躾けの行き届いた良い子でした。4年生の先生からも同じことを聞かれたのですが、随分変わった様ですね。」という返事でした。ただ、3年生の先生が少し心配そうに「時々O君が3学期に入って大声を上げて教室の窓から校庭で遊んでいる子をビックリさせていたことがあります。どうしたのかなと思っていたんだけど、授業中あくびをする様になったのも、その頃で寝不足なのかなと聞いてみたら、本を読んでいたということでした。」「どんな本でしたか?」と聞くと「小公子とか15少年漂流記とか言ってました。」とのこと。3、4年生なら、きっと読むだろうと思う本でした。特に男の子にとって自分の力で他人と力を合わせて自分達の困難を乗り切る物語は、きっと少年の心を掴んだのでしょう。その主人公と自分を比較してO君が何を感じ、どう思ったか、とても気になりました。S子が時々、給食時間の片付け頃、内緒話として話し合ったことがO君を知る手がかりになりました。O君のことを『O兄さん』と呼んで報告してくれるS子の話によると、O君がママに言うことに大声で答えるとお母さんが悲しそうに黙ってしまい、何回か重なると泣いてしまうのだということがわかりました。「ありがとうS子さん。あなたはお母さんが泣いたら、どんな気持ちになる?」と聞くと、「私、悪い子かな?『ごめんね』と言いたくなる。」と私のヒザに手を置いて答えてくれました。
2015年11月20日 23:58