『思い出さがし』 193・変わった子⑤
S子の話は続きます。「先生が1年生の時、O君はいつも私のお兄さんになって私を助けてくれる素敵な男の子やったんに、4年生になってから大声を出すようになってみんなが怖がっているの。でも、私には、とっても優しくて『S子ちゃんがいじわるされたら必ずO兄さんの所に来るんだよ』っていつも言ってくれるの。だからどうして苦しいのか私、分からんがや。」と少し寂しそうに言って昼休みの仲間の所へ急いで行きました。3、4年生はギャングエイジと呼ばれ反抗期でもあります。特に4年生は考える力も強くなり周囲の大人の在り方に疑問を持ち、理不尽さに正論を出すことが多くなります。思い出すとマニュアル通りにすることを大切にしておられたお母さんの優しい厳しさを思い出します。参観日の後、O君の机の中でロッカーの点検をしてOKを出して静かに頭をなでておられた時が何度もあり、本人も満足そうに笑ってスキップをして帰って行く姿が印象的でした。良い風景でしたが、他のやんちゃ坊主たちが「お母さん、今日何や?」「かきやま!」「えーっ、チョコレートにして!」「だめ!贅沢もん、我慢しなさい!!」「ちぇっ。」っと不安そうに言いながらも「分かった、分かった。」と妥協する母子や「ママ、これ持って来て。」体操服を手渡そうとする息子に「何言ってるの!!あんたの体操服でしょ!自分の物は自分で持ちなさい!」と一喝する母子の姿の方が自然で納得できるものだったことを思い出します。
2015年11月13日 23:58