『思い出さがし』 160・集団の中の子ども②
サークルベッドの中で少し微笑んでいる赤ちゃんを見た時「幸せそうですね。」とヘルパーさんに話しかけると「そうです。この子は3人の年の離れたお姉さんがいて、いい家族の中で育ったんです。お父さんが仕事中の事故に合って病院へ入院しているので2週間だけお預かりすることになったのです。今日で4日目なのに適応力がビックリです。」「扱いやすいお子さんなのですね。」というと、「それってとても大変なことですよ。わずか4日目でも愛されているから安定感があって、よく眠り、よく飲んでみんなに可愛がられています。」聞くと3人のお姉さんは中1、小5、小2のお世話好きな子達で中学1年のお姉さんは「私達、若草物語の4姉妹です。よろしく。」と言って笑顔で夕方に妹をつれて帰って行くそうです。きっと3人のお姉さん達が食事を作り、子守りをし、お父さんの退院を待っているのでしょう。近くに住むお婆ちゃんも毎日来て下さるのですが、小さなお菓子屋さんでお店を空けることが出来ないので3人の姉達は力を合わせて留守を守っているとのこと。随分前のことで、まだまだ地域社会が、その教育力を持っていた時代なので地域集団の力が支えた時代だったのですね。赤ちゃんの世話をする姉達を温かく見守る近隣社会の中で家族は試練を乗り切り、4姉妹の4番目の赤ちゃんの心は安定し、苦しい時期を乗り切ったのです。
2015年03月13日 23:56