『思い出さがし』 161・集団の中の子ども③
家族の団結力と地域集団の教育力がしっかりつながり合った時代。乳児院の中でヘルパーとして働いていた方が十数年ぶりにお会いした時、娘の結婚を期に辞めたと聞き、赤ちゃんにとってはどんなに寂しいことだろうと思いました。「でもね、孫守りをしてもう1回親の勉強したいんです。親の大切さをイヤ程知らされましたもの。」「えらいねえ、学び直しですか。」と言うと「世の中が変わり、生活様式も変わったけど、生まれて来る赤ちゃんは真っ白のままなのに迎える大人達の身勝手さが赤ちゃんをダメにするんだと思うことばかりでした。ベビーサークルの中でつかまり立ちして母親をひたすら待つ赤ちゃんや幼児は体で時間を覚えていて、帰りの遅い母親を見ると笑顔で抱きついて嬉しくて大泣きしているのに疲れた表情で面倒臭そうに子どもを横抱きにして帰る若い母親を見ると、せめてわが孫だけはと思ってしまうんです。」切々と語るヘルパーさんの熱い思いはよくわかります。どんなに幼い子でも生きることに懸命なので母の帰りの早い遅いを身体で感じとるのです。母が生理の時を乳児は見抜くと言っておられました。乳児の集団は生きようとする力がみなぎっていて、あらゆることに敏感で生理時の母のイライラを読み取って、いつもより大人しくなると聞きました。そんな風に見つめるヘルパーさんもえらいと思います。
2015年03月20日 23:13