学校法人 和田学園  認定こども園 青竜幼稚園

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前園長日記/和田節子ライブラリー

『思い出さがし』 111・お正月いろいろ⑤

最近保育業者さんの中に「近ごろカルタが売れなくなりました。」という声があります。そういえば核家族化が進み子どもの数が減少すると、一人っ子や二人っ子ではカルタ取りができません。最低3人いないと成立しない遊びです。両親か父や母が相手をしないと意味がありません。大家族かせめて祖父母と同居していれば楽しい遊びですが、昔のお正月遊びが忘れられ、ゲームで一人遊びをする子が増え、その楽しさにのめり込むためコミュニケーション力が弱くなっていくのがわかります。せめてお正月の休みだけでも一人遊びではない集団の遊びの楽しさを体験させてあげたいと、園ではカルタをプレゼントし続けています。5才の女の子が三学期が始まって2、3日した時「先生、お正月にね、おじいちゃんとおばあちゃんのお家に行ったの。その時ね、カルタを持って行ってみんなで遊んだの。おじいちゃんがね、何回も読んでくれてね、私、21枚も取れたんや。すごいでしょう。」と両手を2回も広げて最後に人差し指を1本突き出して来ました。私はその指をそっと掴んで「ヤッタネ!」と言うと「春休みにも行くの。」と言って階段を駆け上がって行きました。彼女の指のぬくもりを思い出しながら、ご両親のご配慮とおじいちゃんの粘り強い愛情のある対応に感謝しました。あえてチャンスを作らない限り、子ども達の明日はないのだと実感したお正月でした。

2014年01月31日 16:51

『思い出さがし』 110・お正月いろいろ④

昭和22年のお正月は金沢でした。父も終戦後満州から帰って来ていたので、久しぶりの一家揃ってのお正月でした。近所の子ども達がぞろぞろ兄弟姉妹でやって来ました。父が軍隊からもらって来た金平糖がお目当てでした。甘いものがなかった時代なので評判になったのでしょう。トゲトゲの金平糖が口の中で少しずつ溶けて、甘さが身体に染み込む様な幸せ感は本当にすばらしいものでした。みんなは笑顔になり、小さな火鉢のまわりとこたつのまわりは、春の暖かさに包まれた様でした。そして誰かが嬉しそうに「旗源平したいな。」と言うと、すかさず何人かの男の子が「お宮さんのおじちゃん呼んで来てもいい?」と叫ぶのです。兵庫県生まれの父が「旗源平って何だい?」と聞くと「あのね、あのね、サイコロを転がして旗を取るんや。」「サイコロは2つやぞ。」「チンチンカモカモって言うんや。」「めがいちってあるよ。」「しのにもあるよ。」と口々に言い出すので、母がいつもの大声で「一人ずつ言いなさい!」と叫ぶと、みんなシーンとなります。「遊び方を知ってるのが、お宮さんの神主さんなの?」と母がダメ押しすると、わんぱく坊主達が神妙な顔で「ハイ。」と返事する姿がおかしくて、私が笑うと、数人が神社へ向かって走りだし、神主さんの楽しい指導で、畳と畳の間にたくさんの旗が立ち並ぶお正月が懐かしいです。

2014年01月24日 23:14

『思い出さがし』 109・お正月いろいろ③

昭和21年のお正月は日本で迎えました。父のふるさと、兵庫県の山奥でした。「かすみ」という駅でバスに乗り換えて2時間。終着駅で降りてから子どもの足で1時間半はかかった山奥でした。でも人々の言葉は柔かく温かでした。「よく帰りんさったなあ。」「ごくろうしんさったのう。」「ゆっくり休まれなったらえいよ。」と優しい言葉が続きました。嬉しかったです。緑の多い山々が価値観がひっくり返ってしまった日本に希望をつないでくれました。日本海側なので大雪でした。冬は分校ができて、村の子たちは20名近くその分校で4月を待つのです。父の弟で他家へムコ入りした叔父さんの家で迎えたお正月も面白いものでした。親族の長老の家に子ども達が10名以上集まって「おめでとう。」と言い交わし新年が始まります。そして最初の儀式が、口の狭いアメ玉の入っていたガラスビンの中に、たくさん詰まっている小銭を掴み、その分がお年玉として全額もらえるのです。大きな手でグイとつかんだ大量の小銭も小さな口からは出ることができません。握りこぶしが大きいと出ることができず、小さな子ほど有利なのです。欲深い子は途中であきらめるしかありません。長老の知恵は幼い子に温かいお正月を用意してくれ、みんな大笑いをしながらお雑煮を食べるお正月でした。

2014年01月17日 17:23

『思い出さがし』 108・お正月いろいろ②

極寒の地でのお正月は、大人達に説教されたり、拒否されたりすることなく始業式前日まで続きました。ある日2年生の男の子の投げた馬糞が弟の耳に当たり真っ赤になりました。泣き出した弟の前に膝まづいて「かんにんしてください。かんにんおねがいします。」と氷の地面に何度も手をつく子を見ていると切なくなり「ダイジョブ!イタイイタイ少しだけね。」と日本語を並べる私に向かっても涙を流して謝るのです。「ダイジョブ。イタクナイヨネ。」と弟に聞くと、弟は泣きじゃくりながら「チョットイタイ。」と答え、私にしがみついてきました。「あったかい所へ行ったら大丈夫!」と弟の肩を抱いて「ゴメンネ。おうちに帰るね。また遊ぼう。」と言って家へ帰って来ました。弟は帰るとすぐ母が作っておいてくれたおにぎりを3個も食べて眠ってしまいました。オンドルのあったかさで私もウトウトしていた頃、よく通るいつもの母の声が聞こえました。「まあ、こんな寒いのに皆さん裸足のままどうしたんですか?」と聞いています。やがてみんなの声で「ゴメンシテクダサイ。かんにんしてください。」の大合唱です。日本名ヒデちゃんのご家族でした。私は飛んでいって「大丈夫!いっぱい食べて寝ています。」とジェスチャーを交えて話しました。「イルボンサラミ。ありがとう。かんにんありがとう。」そう言って鼻水を垂らしたおじぃちゃんの姿を今も忘れません。裸足は謝罪の証だったのでしょうか。

2014年01月10日 23:35

『思い出さがし』 107・お正月いろいろ①

明けましておめでとうございます。今年こそすばらしい1年でありますようにと祈りながら新年を迎えました。小学1年生のお正月は北朝鮮で迎えました。日本人のいない小さな町でしたが、日本の軍隊がいたのでとても静かな町でした。人々は優しくて日本人は大切にされていました。子ども達は私たち兄弟の他はみんな現地の子達で、彼らの日本名は花子とひでおが何人もいて不思議でした。きっと無理矢理つけられた名だったのでしょう。みんな明るくて親切で、日本語も上手だったのでよく遊びました。1月は気温が-20℃になる日もあり、鉄のノブに素手で触ると凍りついて離れなくなる程でした。戸外を荷物や人を乗せて通る牛や馬の吐く息は白く、牛のよだれが凍って地面をざりざり進む日もあり、弟がおしっこをしたいと言って道端ですると、放射線の半分位の氷の柱が立ってびっくりしました。床下に石炭やコークスを燃やして部屋を暖めるオンドルが懐かしいです。でも子どもは風の子で、外に出て馬のフンが寒さで凍るのを待って取り合い、馬のフン投げをして遊びました。牛のフンは凍るのが遅く、馬のフンに群がった記憶があります。馬がしっぽを上げてフンがいくつも落ちてくるのを待つ間、民族を越えておしくらまんじゅうをしました。

2014年01月04日 11:32

『思い出さがし』 106・良い子ってどんな子?④

黙って抱っこしているうちに陽ざしが落ちていき寒くなりました。「寒くない?」と聞くと「ちょっと。」と言うので、膝用の小さな毛布を背中にかけてあげると、泣きじゃくりながらも優しい声で「ありがとう。」と答えてくれました。しつけの行き届いた良い子なのです。他のクラスの先生からも「M君っていい子やね。あんな子が一人いるとモデルになってくれるしうらやましい。一日貸してほしいな。」とよく言われました。日々親の重圧と愛に飢えた小さな魂をどうやって守るか、自立させるか、新しい課題をかかえることになりました。誰かに愛されているという思いがあれば、そこを基地として生きていけることを伝えたい。その基地を見つける力を身につけさせたい。良い子でいなければならない時間を少しでも減らして楽にさせてやりたい。この子と一緒にいると楽しい、面白いと思われる友人を見つけることから始めました。同じ兄弟関係を持っているT君は、M君の妹のことを知っているらしく「ボクの妹ってスカート履いたの見たことないけど、M君の妹かわいいな。」と言っていたことを思い出し、二人を共通の話題で話し合わせるようにしました。冬休みの福笑い大会にM君は呼ばれたらしく、T君の妹の変な顔の福笑いがおかしくて大笑いをしたと伝えてくれました。時々、遠慮がちに私の膝を独占するM君は、T君を基地としたり、私を基地としながら1年生を終えました。 年12月27日 18:19

2013年12月27日 18:19

『思い出さがし』 105・良い子ってどんな子?③

M君の美しい瞳が吸いつく様に私を見つめています。どんなことも聞き逃すまいとするパワーを感じました。「どうして自分を好きになれなかったのか、自分でもわからなかったんだけど、お姉ちゃんだから我慢するのよ。とか、そんなこと当たり前でしょう。そんなことは恥ずかしいことなのよ。大人の言うとおりにすると大きくなったら幸せになれるんだよ。我が家は昔から立派な人が続いているのだからそれを考えておくんだよ。1年生だからって毎日のように言われたの。でも考えてみたらきっとどの子も言われていたのでしょうね。」と私はいつもよりゆっくり語りかけました。M君は静かに問い返しました。終わりの会も済み、6年生の掃除も終わった時間だったので、1階は静かな場所でした。「先生のお母さんは大声で怒鳴った?叩いた?」「うん、怒鳴られた。叩かれて鼻血が出たこともあったなぁ。」「その時泣いた?」「そう言われると泣かんかった。黙って我慢したかも。」「ぼく泣いた。そしたら顔つねられた。太ももをギュッとされたこともある。」話しながら泣き声になります。震えている肩を抱くと全身を任せてくれました。その時彼は言ったのです。「お母さんに抱っこされたことがないんです。憶えてないんです!」思いがけない展開でした。愛する人から抱っこされた記憶がないことが、あの寂しい笑顔の原因だったのです。

2013年12月29日 09:47

『思い出さがし』 104・良い子ってどんな子?②

私の腕の中で思い切り泣いた翌日から、M君はやんちゃ坊主達と遊ぶようになり、絵本や地図ばかり見ている時間が減りました。優しいのでいつも女の子に呼ばれていた折り紙名人も、汗をかいてドッチボールに参加するようになりました。でも時々寂しい笑顔をするので気になります。彼の口からきっと何かを話してくれるだろうと待ちました。やがて秋も深まり木枯らしが吹く頃に道徳教育のためのアンケートが全校で実施されました。その中に、自分の好きなところ、嫌いなところという項目があり、記名でのアンケートだったのでとても興味深く読みました。1年生では自分のことを深く考える年令ではないので、親があんたのこんなところが好きだと言ってくれたり、友人に褒められたりすることを書く子が多く、幼稚園や保育園で先生から褒めれたことを答えとする子も多くいました。一枚ずつ読み進めると思わず吹き出す答えもありました。「うんこが早いこと」「お母さんを笑わすこと」「逃げ足の速いこと」「弟の残したご飯をさっと食べること」「妹をおんぶしておつかいに行けること」等々小さな自慢話が続きます。一人だけ「ありません」という回答がありました。それがM君だったのです。嫌いなところにははみ出すほど書かれていたので目立ちました。自分を好きになれない1年生がいるんだと思うと、何かをきっかけに話したいと思っていたので、私の幼年期の頃を語りかけてみました。「先生もね、自分のことあんまり好きじゃなかったの。」語り出すと彼はまっすぐ私を見つめました。

2013年12月13日 18:02

『思い出さがし』 103・良い子ってどんな子?①

幼い頃、親の力で押さえつけられていた子や自分の思いを外へ表出できなかった子達が、成長するにつれて自分の弱さに絶望したり、表現する能力の弱さに気付いたりした時、急に親に反抗して家を飛び出したり、非行に走ったりする姿を何度も見て来ました。幼い頃の弱々しい笑いや、時々だんまりになって暗い表情を見せる子を思い出すと、必ず指示命令型のご両親に行きつきます。お2人とも、社会的な立場のしっかりした方だったので、幼い頃は良い子で自慢のお子さんだったと思います。勉強もできて、自己中心的で相手を追い込むこともなく、理想の子育てだと思っておられたのでしょう。小学1年生で、礼儀正しい男の子が時々見せる何とも言えない寂しそうな笑顔はどこから来るのだろうか気がかりでした。長休みの時間に私の周りに集まって来たやんちゃ坊主に交じって、笑顔を見せているのに驚いていると、周りの子ども達が気付いて「あっ、M君笑った。かわいいね。」と叫んだのです。周りから注目されたM君はすっごく照れて私にぶつかってきました。ぎゅっと抱きしめると泣き出しました。「あっごめん!ぼく何か悪いことした?」心配そうに近寄る子ども達に激しく顔を横に振って泣き続けるM君。閉じ込めていたものを一度に吐き出した感じがしました。「M君、泣いていいんだよ。子どもはね、泣いたり笑ったり怒ったりして大きくなるんだよ。」やんちゃ坊主達が口々に「ごめんな。」と言って遊びに行くまで抱いていました。

2013年12月06日 13:02

『思い出さがし』 102・がまん強い子を見つめる②

「オオカミが来たぞ!」と何回もウソをついて大人をだましているうちに、本物のオオカミに追いかけられて食べられてしまったというお話しを、小さい時に子ども達は必ず聞いたり、読んだり、紙芝居を見たりしています。大げさな物言いをする子とは少々違うのですが、ワンパクで、よく友だちをからかったり、だましたりする子は、この話を聞く時必ずバツの悪そうな顔をします。(ハハァ、何かやらかしたな)と思って話に一呼吸おくと、チラッと視線が動きます。こちらもその動きに合わせると、ある子を見つめて反応を見ています。被害者の思いが気になるのでしょう。見つめられた子は静かに私の話を聞いてきますが、ふと視線を感じたようでワンパク坊主の方に視線を移すが、また何事もなかったように手作り紙芝居を見つめている。その様子をじっと見ながら肩をすぼめるワンパク坊主。自分のやったことに相手がそんなに傷つけられていないと思ったのか、少々後悔していたのか、席をその子の後ろに移動して「ウソついたしやな。」とつぶやきました。読み終わって、どうだったと感想を聞くと口々に「ウソついたしや。」「オレ、こんなことしんし。」「ウソつきはドロボウの始まりやし、バチ当たったんや。」と言い合っています。その中に一人手を上げたのは静かながまん強い子です。「先生、何回だまされても今度は本当かもしれんと思う大人がいたら、子どもは助かったんだと思います。」と控えめに話したのです。がまん強い子はこんなに深い思いを持っていることを知りました。

2013年11月29日 08:35

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