『思い出さがし』 107・お正月いろいろ①
明けましておめでとうございます。今年こそすばらしい1年でありますようにと祈りながら新年を迎えました。小学1年生のお正月は北朝鮮で迎えました。日本人のいない小さな町でしたが、日本の軍隊がいたのでとても静かな町でした。人々は優しくて日本人は大切にされていました。子ども達は私たち兄弟の他はみんな現地の子達で、彼らの日本名は花子とひでおが何人もいて不思議でした。きっと無理矢理つけられた名だったのでしょう。みんな明るくて親切で、日本語も上手だったのでよく遊びました。1月は気温が-20℃になる日もあり、鉄のノブに素手で触ると凍りついて離れなくなる程でした。戸外を荷物や人を乗せて通る牛や馬の吐く息は白く、牛のよだれが凍って地面をざりざり進む日もあり、弟がおしっこをしたいと言って道端ですると、放射線の半分位の氷の柱が立ってびっくりしました。床下に石炭やコークスを燃やして部屋を暖めるオンドルが懐かしいです。でも子どもは風の子で、外に出て馬のフンが寒さで凍るのを待って取り合い、馬のフン投げをして遊びました。牛のフンは凍るのが遅く、馬のフンに群がった記憶があります。馬がしっぽを上げてフンがいくつも落ちてくるのを待つ間、民族を越えておしくらまんじゅうをしました。