『思い出さがし』 103・良い子ってどんな子?①
幼い頃、親の力で押さえつけられていた子や自分の思いを外へ表出できなかった子達が、成長するにつれて自分の弱さに絶望したり、表現する能力の弱さに気付いたりした時、急に親に反抗して家を飛び出したり、非行に走ったりする姿を何度も見て来ました。幼い頃の弱々しい笑いや、時々だんまりになって暗い表情を見せる子を思い出すと、必ず指示命令型のご両親に行きつきます。お2人とも、社会的な立場のしっかりした方だったので、幼い頃は良い子で自慢のお子さんだったと思います。勉強もできて、自己中心的で相手を追い込むこともなく、理想の子育てだと思っておられたのでしょう。小学1年生で、礼儀正しい男の子が時々見せる何とも言えない寂しそうな笑顔はどこから来るのだろうか気がかりでした。長休みの時間に私の周りに集まって来たやんちゃ坊主に交じって、笑顔を見せているのに驚いていると、周りの子ども達が気付いて「あっ、M君笑った。かわいいね。」と叫んだのです。周りから注目されたM君はすっごく照れて私にぶつかってきました。ぎゅっと抱きしめると泣き出しました。「あっごめん!ぼく何か悪いことした?」心配そうに近寄る子ども達に激しく顔を横に振って泣き続けるM君。閉じ込めていたものを一度に吐き出した感じがしました。「M君、泣いていいんだよ。子どもはね、泣いたり笑ったり怒ったりして大きくなるんだよ。」やんちゃ坊主達が口々に「ごめんな。」と言って遊びに行くまで抱いていました。