『思い出さがし』 209・子どもの思い①
1年生が入学式に記念写真を撮る学校が多い時代に入った時、私は1年生の補助をした日を思い出します。1年の1組で男の子が多いクラスでした。6年生の子がひとりひとりについて会場へ案内するのですが、ある男の子H君はお世話をしてくれる6年生の女の子を拒否し、男の子と交代を要求したのです。困っている6年生を見て担任の先生が「他の子を見てごらん。みんなちゃんと決まった人と手をつないでいるでしょう。お約束だから守りましょう。それにイヤと言われたら悲しいでしょう。お姉さんの気持ちも考えるのが1年生ですよ。」とハッキリしっかり話しかけました。さすがベテランの先生と思っているとH君は「お姉ちゃんのことは嫌いじゃない。男は男、女は女で入場したいだけや!」と少し強い声で言います。「1組だけ勝手なことはできません。それはわがままというものです。」厳しい声でした。「じゃ、ボク入学式出ない!」「じゃ、先生と一緒に入場しましょう。」「ヤダ、先生も女だから!」H君の叫ぶ様な声で辺りはシーンとなりました。私は、とっさにH君を抱きしめて「H君、どうして男の子がいいの?」と聞いてしまいました。H君は泣きながら「ボク、一番に入るから大きいお兄ちゃんとかっこ良く入場したかったんや。」と私のスーツで涙を拭いていました。ベテランの担任は「じゃ、後ろの大きい男の子お願い!かっこ良く連れていってね。」と少しあきらめた笑顔で送り出しました。
2016年03月06日 23:57