『思い出さがし』 208・成長する子ども③
「先生、参観日の日のお母さんは、いつもニコニコしていて嬉しいけどコワイ日もある。」と言った2年生がいました。足の遅いB君は、それがコンプレックスになっていたのでしょう。体育の参観は苦手でした。運動会も好きではないので雨が続くのを願っている様でした。でも足の速い子には憧れもあって、その子の走りをじっと見つめて手の振り方を真似する時もありました。その真剣な眼差しをはっきり覚えています。美しい表情でした。速く走ってテープを切りたいと思っていたのでしょう。体育の時間をとても大切にしていることが分かりました。「ね、B君コワイ日ってどんな日?」と聞くと、「お友だちの話をしっかり聞いていない日。」とのこと。「へぇー、お母さんそれがすぐ分かるんだね。」と感心していると「(だってあなたはお話をする子の方を見ていなかったでしょう。鉛筆をクルクル回していたでしょう)って厳しいんだ。」うつむいて不満そうです。「鉛筆を回していたのは遊んでいたわけではなかったの?」と聞くと「うん!あの時のお友達の言うことが違うなあと思って、自分の考えていることをまとめようとして鉛筆を回していたんだ。」といつもの綺麗な瞳で訴えて来ました。子どもって、その行動のひとつひとつにちゃんと理由があるのです。それを受け止める大人が必要なのでしょうね。
2016年02月28日 23:58