『思い出さがし』 149・家庭の空気③
沢山の子ども達を見ていると、こんなにひとりひとりの育ちの中に言葉で言い表せない雰囲気を感じて驚かされます。どんなに年令の低い子でも、1才を過ぎる頃には、その身振りや語調にハッキリと違いが見えて来ます。ある子育てサークルに見学会があり、顔を出しました。一歩足を踏み入れた途端に教室の空気が変わりました。指さしで「あ、あ」と興味を示す子、サッと立ち上がって走り寄って来る子、近くの保育士さんに、すがって様子を見る子、「ママ、ママ」と泣き出す子、必死にハイハイをして近くまで来て、じっと私を見つめる子、持っていたおもちゃを「ハイ、ドージョ」と差し出す子、部屋の隅まで逃げて行って背を向け、時々チラリと振り返って見つめる子、ベッドの棚につかまって体を動かして何か話しかけて来る子、10人位の人数でしたが見事にひとりひとりの動きは違いました。でも、一度だけ、全員が同じ様な行動をとった時があります。私が1人の男の子を抱き上げて「タカイ、タカイ」をした時です。全員が「アーア。」と言って両手を前に差し出したのです。「ボクにもして。」「ワタシにもして!!」と言うサインなのでしょう。私には1人1人にスキンシップをせずにはおれなくなりました。頭をなでたり、ヒタイにチューをしたり、肩を抱いたり、握手をしたり、ほっぺを合わせたり、手をつないで歩いたり、足の甲に乗せて歩いたり、ぬいぐるみを間にして手をつないだり、1人1人の持っている空気みたいなものが違うとスキンシップの内容まで変わって来るのです。
2014年12月27日 23:58