『思い出さがし』 143・運動会で学ぶ⑤
1位にはなれなかったけど、みんなの心は爽やかでした。ムードメーカーのM君が「おい。バンザイやってから1位になれんかったくやしいって叫ばんか?」と言ったらしく、2年3組は少し賑わっていました。参観のお母さん達の笑顔が見えました。スタートを切った女の子が「ありがとう。」とアンカーに話している姿も印象的でした。―そして昼ごはん―結果はどうであれ、チームが心を1つにしたことの心地良さは素晴らしい体験です。スターターの女の子はH君の所へ行って「自分の力わかったわ。また頑張る!」と言い、H君は「初めて走ったのに2位のすぐ後ろやったし、すげぇ。」とおにぎりにかぶりつきます。「来年はクラス変わる子もおるけど1位になりたいな。」「本当や。来年は味方か敵か面白くなるな。」「あの子山の上から歩いて通学しとるし来年は選手になるかも。」「好き嫌いせんあの子も体力あるぞ。」そんな話題が多くなり、走ること1つとっても考えることがいっぱいです。「あの子のお兄ちゃんいつも1位やし、きっと妹のあの子も速くなるな。遺伝やな。」「イデンてなんや?」「親や兄姉によく似た力が伝わることや。」「血筋やってじぃちゃん言っとったけど、そんなことかな。」こうした会話が伝わり広がって行くことで子ども達は学ぶのでしょう。会話が成り立つ集団を作らねばと、私はじっと子ども達の自由な会話に耳を傾けました。H君がそっと私の側に来て言いました。「先生がくやしさを分かってくれたしリレーに出れた。楽しかったよ。」自他の力が分かって認めることのできる2年生はすてきだと思いました。
2014年10月31日 23:14