『思い出さがし』 139・運動会で学ぶ①
ヨーイドンと言ってもらいたくて走る構えをする3才児を見ていると、思い出すのは運動会嫌いの2年生の男の子です。話し合い学習ではピカイチで、小さな論客としてみんなが認めていました。「想像力は色んな発明のもとなんだよ。」と彼が語り出すと周りの仲間達はみんな彼の方を向いて次の言葉を待っていました。「あのね、ライト兄弟はね、空を自由を飛ぶ鳥を見てどうしたら人も空を飛べるだろうかと色々想像したんだって。テレビだってラジオで音しか聴こえないのは寂しい。音と写真を一緒に伝える方法はないだろうかと沢山想像したからできたんだよ。」色白の顔がピンクになる様な力の入れ方で話す男の子は、とても仲間から頼りにされていました。そのH君が秋の運動会の練習が始まると少しずつ元気がなくなりました。具合でも悪いのかと心配する友人に「秋は嫌いな季節なんだ。」とつぶやいたと言います。私は1年生の運動会の時のことを思い出しました。普段跳び箱やマット運動、ドッジボールなどは大好きで頑張り屋さんだったH君が、クラス対抗のリレー選手に選ばれ走った時のことでした。8人で1チームで半周を走る1年生。みんなの応援は大変なもので、走る子のドキドキが聞こえるようでした。4クラスの対抗で、アンカーを走るH君は3メートルほど先を行く1位としてバトンを受け取りました。でも残念。後から追いついた2人に抜かされてしまったのです。バトンを持って倒れ込んだH君の涙がバトンをぬらすのを見ました。
2014年10月03日 23:47