『思い出さがし』 138・学力って何だろう④
40年も前に学力について話し合ったのは自分の子どもが受験を控えていた時だったからでしょうか。塾へ通う子が増えて「私も」「ぼくも」と学習塾さがしをしていた頃でした。身近な問題になると関心が高くなるのは当然ですが、我が家ではのんびりムードいっぱいで慌てる様子もありませんでした。無風状態の我が家のまわりでは、塾がいくつもできて小学生や中学、高校生が動き始めました。期末テストの点数が母親の間で話題になり、塾の評価が決まっていきました。我が家のまわりでも遊びに来ていた子ども達が腕時計を持って来る様になり、少し遊んでは時計をながめ遊び込めない子がいました。時計を持たない子は「おばちゃん何時ですか」と10分おきに聞きに来ました。みんな塾へ行く時間が気になる様でした。広い床上は5時半になると2、3人の子がボールを蹴るだけの空間になってしまいました。時間を忘れて遊び込む姿が消えていくのは淋しいことでしたが、時の流れには逆らえないのでしょうか。学力について話し合った仲間達も流行には抵抗できず塾に通い始めた子がいました。「ぼく1人勉強だめなんや先生、でも気持ちはあの時のみんなと同じやぞ。忘れんといて」と英語塾へ行った様でした。やがてその子は「先生、外国語って面白いね。言葉が違うということは、その国の歴史や人々の考え方も違うんやろね。ぼく色んなこと知りたくなった」と目を輝かせました。いろんなことを学びたい思いこそ学力の源なのでしょう。
2014年09月27日 23:27