『思い出さがし』 137・学力って何だろう③
次の日の長休みの時間、ラジオ体操で体をほぐしていたクラスのみんなは、何となく私の周りに集まって昨日の学力って何だろうという話に戻っていきました。休み時間なのに昨日の話し合いが心に残った子が多かったらしくて、N君は「ぼくH君の言葉をずっと考えとった。人類は歴史的に色んな病気と戦って来たでしょう。手術でたくさんの人が生き残ってきたし、種痘とも戦って克服してきたし、目には見えないウイルスをやっつけるための研究もいっぱい頑張っとるし、滝廉太郎の話の様に人の心を動かす音楽や、希望を与える絵や彫刻を作り出す人達のことも、学力のある人と言うのかもね。」「私もそんな気がする。自分はこれができる、これも負けないと自分が目立つことばかりする人ではなく、その人の持っている力で誰かを幸せにする力を学力というんじゃないかな。」滝廉太郎の話をしたS子が静かに話をつないでいきます。「学力テストでその子の覚える力や考える力を見るのは、その子がどんだけ授業中頑張っとったか、先生がどんだけ教える力があるかを見るだけやし、その力を人のために役立つように学び続ける力がないとだめやと思う。」「そうや、先生、教える力が低かったらぼくらの学力は上がらんがやぞ。先生しっかり教えてください!」ひょうきん者のH君が本領を発揮して私にカツを入れてくれました。その言葉がいつも私を支えています。
2014年09月19日 23:37