『思い出さがし』 134・夏休み⑤
夏休みも終わりになると、小学生の兄姉は宿題に追われて毎日大変です。お母さんの叱り声がオクターブ上がって来るので暑苦しい毎日です。幼稚園では思い出の写真展を開く所もあって、各家庭ではお父さんの背中を押して残り少なくなった日に家庭に早く帰るようになるサラリーマンの数が増えるという記事を読んだことがあります。我が家の5人の子ども達は、最後の2、3日は家族が一斉に宿題の手伝いをした年がありました。幼小中高大(予備校)の5人が1年だけバラバラの学種だった記憶があります。各々得意分野があり、 大学の子が幼の子を旅行に連れて行き、合流した中高生が作文を書いたり、共に工作を作ったり、父親も手伝って作品を作ったりしたものです。1年生の担任として集まって来たひとりひとりの研究物や絵日記を見て、お家の人に手伝ってもらったのだということが一目でわかるものが毎年あります。でも我が家のことを思うとどうしてもそれを咎めることができません。一緒に作ったり書いたりすることで、きっと学んでいることもあるのだろうなと思うからです。ある男の子が隣の席の女の子の絵を見て「すげぇ、先生あいつの朝顔の絵、本物みたいや。ほら、見て!」と頭の上でかざしてくれました。女の子はテレて苦笑しています。「本物や。朝早く起きて咲いた花を見て描いたんやろね。」共感するとみんな拍手。その日の放課後女の子がそっと私の耳元で「先生、あの絵お父さんに手伝ってもらったんや。」と囁きます。きっと父から色んなことを学んだのだと思います。「大好き。」と言って抱きしめました。
2014年08月30日 23:31