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前園長日記/和田節子ライブラリー

『思い出さがし』 129・絵本④

下の子達にじっくり本を読んであげていた子が卒園して行くと、4月と5月は私が読み手になって新しい読み手をさがすことになりました。沢山集まって来るので、「見えん」「せまい」「あつい」と言い出すので、「ひとりで読める人いませんか?」と聞くと、「ハーイ」とみんな手をあげます。「じゃ順番に読んでもらおうかな」と私と2人で読んでみることにしました。たどたどしい子を助けながら読むのは時間もかかり内容もわかりにくいのですが、何度も読んでもらっている子は、内容や表現を覚えていて、すらすら進んで行きます。でも同じ様に読み慣れている子は、「そこ違うよ」と注意したり、「違うけど面白いね」とささやき合っています。年少の子たちは、たどたどしい読み方より内容がわかっていて独特の言い回しや表現方法を楽しみ、こうして人気のある子が自然に去年の代役ができる様になります。6月頃になると文字を正確に読み、ゆっくりページをめくる子が読み手として定着して来ました。私は安心してそのこに任せて仕事ができる様になり、とても楽になりました。子ども達も時々入れ代わりながら静かに聞いています。時々入って来るお客様が感心して聞いて行かれることもあり、「読んで、おじちゃん」と言われて戸惑う方もおられましたが、絵本は沢山の人をつないで行く素敵な役割を持っています。あの頃読み手だった子は大学院生となり、外国へ行ったり、要職についていると聞き、そうだろうなと思い出をたぐり寄せています。
2014年07月26日 23:39

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