『思い出さがし』 119・子どもの居場所①
子どもが居場所を見つけるのには大人の寛容さが大きく影響しています。周りを見てタイミング良く自分の定位置を決める子を見ていると家庭での様子が見えてきます。ある男の子は3人兄弟の真ん中っ子です。人の顔色を見るのは上手ですが決して卑屈ではありません。いつもニコニコしている女の子を見つけて、すぐ横で周りの子ども達を見ています。体が大きくて声もでかい4月生まれのK君は、何でもできる子ですが、すぐ思ったことを口にして、相手を傷つけることが多い子でした。ニコニコのSさんを気に入っているのでしょう。真ん中っ子のM君がSさんの横にいるのを面白く思っていなかったのでしょう。「M君はSさんと結婚するんやな。ほうやし、いつもくっついているんやな。」とみんなに聞こえるように騒ぎ出します。言われた2人は恥ずかしそうに離れようとします。それを力づくで止めるK君。困った顔のSさんを見てM君が言ったのです。「ごめんなSちゃん。Kちゃんの隣に行ってあげて。みんなSちゃんのこと大好きなんやし。」大声のK君には続く言葉がなかったのでしょう。自分の席に戻って憮然としていました。小学校に入ったばかりなのに相手にイヤな思いをさせまいとするM君は次の日、大声のK君と一緒に登校し「おはようございます。」と元気に挨拶です。M君はK君との距離を考え、クラスの副リーダーとしての役目も果たしたのです。