『思い出さがし』 116・たくさんの さようなら
3月に入ると少しずつですが春らしい柔らかな日差しが戻ってきます。桜の蕾がふくらんで、何となくわくわくして来るのですが、別れの時でもあり涙を流す日もあります。嬉しい合格発表に家族で大喜びをして、2週間後親元を離れて他県で一人暮らしを始める息子を持ったお母さんにしみじみ言われた言葉があります。「先生、親って別れの悲しさを体験するために子どもを生むのですね。」そう言って私の手を握りしめたお母さん。1つ違いの妹がいるご家庭では、次の年も同じことが起きると思っておられたのでしょうか。母親にとって息子の存在はきっと特別なものなのでしょうね。私は長女が早くから東京へ行きたがり、夏休みは東京の予備校に通っていたので覚悟はできていましたし、下に4人も妹や弟がいたこともあり、心配はしましたが悲しさはありませんでした。お母さんの手を握り返しながら「本当に別れの数と出会いの数の中で人の生命は流れて行くのですね。次の出会いを大事にしたいですね。」と言うのがやっとでした。息子さんを京都の下宿に送り届け、両親が金沢へ帰って来る車の中で母親は泣きっぱなしだったと聞き、立ち直るのに時間がかかるだろうと気が重くなりました。数日後、彼女から元気な電話がありました。「昨日息子のところへ行ってきました。部屋も綺麗で、ラーメンを作ってくれたんですよ。入学式は前日に行って、次の日は京都のごちそうを食べる約束をして来ました。また会えるって楽しいです!」別れがあるからこそ再会の喜びは大きいのですね。
いつも青竜幼稚園、青竜第二幼稚園のホームページを見ていただきありがとうございます。2月末より体調を崩してしまい療養しております。回復しましたらまた園長日記を再開します。しばらくお休みさせていただきます。よろしくお願い致します。
青竜幼稚園・青竜第二幼稚園 園長 和田節子