『思い出さがし』 92・遠足の思い出③
地面を歩くのも大切だが、一度河原を歩いてみようと手取川の河原を歩いたことがあります。
もちろん、年長組の活動です。7月頃でしたか、まだ水かさも多くなくて、
晴天の続いた日の中日を選んで行きました。大小の石ころが行く手に広がり、
冒険心のある子にとってはワクワクなのですが、小心な子は震えている子もいました。
足元はゴム草履のある子はそれを履き、持っていない子は裸足でした。
所々できれいで形の良い石を見つけて「ワーイ洗っておじいちゃんのお土産にしよう。」という子、
ちょろちょろと流れのある石で囲まれた小さなくぼみの中に、小さな魚を見つけて歓声を上げる子、
石の上をピョンピョン飛びながら「石とびの術」と忍者ごっこをしている子、
少々重い石を動かして、その下に何かかくれているか真剣に見つめる子、
中洲の茂みの中にぐみの木を見つけて「これ食べれんがか。」と叫ぶ子
「食べても大丈夫だよ。」というと、すぐに飛びついて口にする子達が実におもしろい顔をして
「すっぱい!」「すぱ~い!」と言うのを聞きながら、先へ先へと進む子を制した上で、
平らな地面を見つけて座りました。座った場には小さな砂利がいっぱいで、
女の子の目が光ります。「これ石の宝石や。」「宝石って本物はみんな石なんやぞ。」
「へぇ、ダイヤモンドも?」「そうや石の中から出てきたのを磨いて光らすんやってパパが言っとった。」
さすが年長さん、色んな知識をしっかりキャッチしているのです。
サイレンの音が聞こえて先生の合図で河原を引き揚げました。冒険心を残しながら。