『思い出さがし』 86・友だち作り②
親の目の届かないところで我が子は何をしているのか、とても心配になるのはわかります。特に自分が友だち作りに良い思い出のない場合は、どうしても関心が高くなり、自分と同じ道を歩いているのではないかと余計な心配をしてしまいます。私の母は外交的で友人をすぐ作って楽しいグループを作り、いつも中心になっている人でしたので、私の様に早生まれで頼りなくて、大きな声で返事もできない我が子がどんなに不甲斐ないと思ったことでしょう。下の弟は母に似て、どんな遊びなら学校登校が遅くなっても蛙をポケットに何匹も入れて平気で「おはようございます。」と教室に入って行く子だったので安心していた様でした。でも、私のことは自分の思う子に育っていない上に、友だち作りが全くうまくできないことを気にして「遊ぼう。」って声をかけない私にイライラしていた様です。「うちの子と遊んでね。」と頼んでいたこともありました。でもそれは全て私にとっては辛いことでした。野原へ出れば足元の小さな穴から出入りするアリさん達を見つめてお話づくりをするのが好きな子でしたので、友だち同士でふざけ合ったり腕を組んだり追っかけたりする姿には着いて行けませんでした。やがて図書室が私の居場所になり、脳性マヒで左手の不自由な子と話したことから静かな世界が動き始めました。草や木や虫や雲と話すことのできる同い年の子と話すことが楽しくて、時々からんでくるクラスメートと話すことができる様になりました。