『思い出さがし』 79・表現会②
かつて自己主張を余りせず、いつもおとなしく笑っている4才の男の子がいました。とても元気なクラスなので、やりたい役があると立ち上がって「やりたい!」というのでわかり易いのです。でもやりたい割りにはやってみると意外に声がでなかったり、セリフがなかなか憶えられなくて立ち往生してしまう子がいるものです。周りの子のほうがセリフを憶えていて、その子を助けていることが続くとギブアップしてしまい、他の役をやってみたいと言う子が出て来ます。もっと早く言い出してほしいのですが、何とか励ましてその役を頑張らせるのですが、心が折れてしまっては辛い思い出になるので、子ども達にギブアップしかかっている子の思いを伝えて、役割分担を変更することもあります。お互いに納得できた時は2人共明るい表情でストーリーを楽しんでいます。こうしたことは珍しいことで、大抵の子ども達は自分で選んだ役割であれ、与えられた役割であれ、自分で理解し自己表現をして楽しんでいます。反応の良い子悪い子、関心の高い子低い子、チャレンジする力のある子ない子、様々な子が自分らしさを表出するために努力している姿は素敵です。見るからにすごいと思う表現力のある子と、控え目な表現で終わる子がいますが、表現会後の再現あそびで表現会当日の主役を超える演技をみせる子がいます。きっと遅咲きの桜なのでしょうね。それがその子の価値を認めさせることにもなり「先生、あの子すごいうまいんやぞ。」と仲間の中でも認められていくのです。いい社会人に育つ予感がします。