『思い出さがし』 77・雪あそび②
体験の積み上げは人格形成にも是非必要なことです。特に家庭で幼小年期に継続して体験したことは、体の一部となって生涯を支え続けるものです。人間が歩くことを手に入れて1年位で歩ける様になるのですが、本人は何度も何度もつかまり立ちしては尻もちをつき、わんわん泣いてまた尻もちをつき、と失敗を何度もくり返して一歩すら歩けるようになるのだと思います。伸びようとする内からの要求と、まわりの励ましや賞賛に助けらえて歩くことが上手になった人間は、成長するとそれはもう当たり前のことになり誰も褒めてはくれません。このように、体験の多いことで子ども達は成長し上手になり当たり前になるのです。2才頃からパパの背におんぶされて山スキーを楽しんだ親子がいます。パパは山スキーが大好きで、女の子が生まれた時から雪に触れるチャンスを生かして、小さな娘さんを山スキーに連れ出しておられました。山から来た年賀状もありました。彼女は幼児期、正式のスキー用品を揃えてパパと共に山スキーを楽しみ、中学高校とスキー選手となり、仕事も関係する会社とつながり、趣味と仕事を両立させています。継続は力なりと言いますが、小さな時期にコツコツとため込んだものは確実に力になります。雨水の一滴一滴が長年の間に固い石に立派な穴をあけていくのを見ている様です。雪あそびでの体験は、きっと自然の恵みと力とに感じる心を作ると同時に、雪との関係で身についた技術が思い出と共にその人の人生を支え続けるのです。