『思い出さがし』 75・お年玉②
時代が違ったとはいえ昔のお年玉はとても楽しいゲームをしているようでした。ガラス箱から手づかみをした時も、1人3回やった上で一番多かったのをあげようと言われて、みんなは色々工夫してつかみ取りを楽しみました。そして、紙芝居のおじさんがやって来るのを楽しみに待ったものです。でも、近頃のお年玉はどうなっているのでしょう。案外ご両親の方で管理しているのでしょうね。今年51才になった昔の教え子が高校2年の時、事情があって私の家で生活することになりました。弁護士を目指して頑張っている子なので成績は抜群でした。家計は苦しく、両親の稼ぎだけでは厳しいものがありました。そのため、彼は常に質素で贅沢をしない青年でした。部活費はあるのかと心配したところ「先生、大丈夫。ボク1年生の時から貯金してあるし、お手伝いしたり、お年玉を叔父さん達からもらったりしたものもみんな通帳に入っているから、当分は困らないよ。」とのことでした。そしてその通帳を見せてくれました。7、8冊の通帳でした。きちんと番号が打ってあり、中を見ると細かい数字は1円から1.000円までの単位で入っていました。お年玉100円、30円、500円と記入されているのを見ると、収入があるとすぐに郵便局へ行ったのでしょうね。高校生になると年末年始に大きな金額が入っており、きっとアルバイトだったのでしょう。500円が最高のお年玉だったのがわかって、厳しい生活の中を生きてきた青年が愛おしくなったものです。自分でお年玉を管理する子もきっと現代にもいるのでしょうね。