『思い出さがし』 65・子どもの素足
11月も後半に入ると、雷鳴がとどろきアラレが窓をたたいて寒さが身にしみる日が多くなります。近くの山の頂上が白くなり始めると、冬将軍はかけ足でやって来ます。こんな冷たい風の吹く日でも、小さな子は靴下を脱いで素足でいることを好む子がいます。我が家の三女も幼稚園から帰るとすぐに靴下を脱ぎ、素足でペタペタと廊下を走り回ります。真っ赤な足が痛々しいので触ってみると、やはり氷の様に冷たいのです。靴下を履かせて言い聞かせると「わかった。」と頷くのですが、3分もするとまた素足で廊下を走っています。「どうして靴下がいやなの。」と聞くと「すべって危ないから。」と言います。「じゃスリッパを履きなさい。」と言うと「だって早く歩けないもん。」と言います。「頭寒足熱といって足を温めないと寒くて風邪ひくよ。」と言うと「だって裸足だとしっかり足を踏みしめられるから安心して走れるもん。」と口をとがらせます。「じゃ、冷たくて辛かったらすぐ履きなさい。」と伝えると納得して遊び出します。畳の上ではそんなに心配しないのですが、タイルや板の間は冷たいはずです。長女は靴下大好きで、いつもこたつの番人でしたが、三女は真冬も素足で家中を歩き回っていました。不思議なことに、長女はよく風邪をひき、三女はインフルエンザにもかからず元気な園児でした。動いている限り裸足でも大丈夫ですと漢方医に言われたことを思い出して、子どもはよく動くことが大切だと教えられた32才の母でした。