『思い出さがし』 63・落ち葉拾い
秋風が冷たくなると、公園や街路樹の葉が色付いて来ます。朝晩の気温差が激しいと美しい葉が多くなります。つたの葉、もみじの葉、桜の葉、いちょうの葉など、近くの山々を美しく染めてくれる木々を求めて人々は山へ登ります。山登りの大好きだった教え子の佐和子ちゃんは、11月になると雪が降るまで山へ登り続けました。そして、木の実やハギの花や山百合、ききょうなど、お父さんと共に毎週のように我が家へ届けて下さいました。ある日、大きな布袋一杯に山の美しい紅葉した落ち葉を届けて下さいました。名前のわからない美しい葉っぱは、学校へ持って行くとあっという間に掲示板を森に変えてくれました。3年生だった佐和子ちゃんの発案だったのです。紅葉した山のふもとに沢山の落ち葉が敷きつめられ、山の上が少し白く雪をかぶっています。山道を曲がりくねって登って行くと、炭焼き小屋があり小さな沢が流れています。大きな杉の木もあり、枯れ枝の木々も並んでいて、その下にふんわりと茶色の落ち葉がいっぱいです。私が大きな袋を教室に持ち運んでから長休みの時間までに大急ぎで仕上げたのでしょう。荒削りだけど見事な森の風景は、クラス全体の子ども達の心を安らげてくれました。こんなことのできた小学時代はもう戻っては来ないのでしょうか。残念です。