『思い出さがし』 40・母の日の思い出
日本人は流行に弱くて、生活行事の中に外国からのものがたくさんあります。お正月、豆まき、女の子のひなまつり、男の子の端午の節句等、残っている生活行事はたくさんありますが、地方によってはまだまだあるようです。でも、父の日母の日などは外国から入って来た行事で、明治、大正の方には親しみのないものなのでしょう。私が子どもの頃は、あまり実践した経験はありません。でも、私が母となってからはどの子からも嬉しいプレゼントとメッセージをもらい、ウルウルになった日もありました。5人の子ども達が小学校4年生頃まで、工夫を凝らしたプレゼントを持って来てくれました。特に幼稚園のプレゼントはいつも嬉しいものでした。我が家の5番目の息子は、それに加えて朝からクッキーを焼いたり、ホットケーキを焼いたり、後片付けをしたり、食後のフルーツをナイフで皮をむいたりしてくれ、忙しい思いをしているようでした。同じ日息子の友だちがやって来て、一緒にホットケーキを食べていましたが、ホットケーキを食べながらポロポロ涙を流し始めたのです。息子が心配して静かに横に座わるとポツンと一言「お母さんが帰って来ない。」と言ったのです。息子は固まってしまい、私の方を向いて困った顔をしました。私も何と言っていいのかわからず「じゃ、晩ご飯の食べて行くといいよ。」と言いましたが何とも歯切れの悪い言葉かけになってしまいました。母子家庭のお子さんだったので言葉が見つからず私も困りました。でも、小さい時から気配りをして来たのでしょう。「おばちゃん、おいしかった。ありがとう。」とにっこり。晩ご飯もしっかり食べて、息子と枕を並べて眠っていました。