『思い出さがし』 30・人間関係の難しさ
1年を振り返ると沢山の子ども達のことを思い出すのですが、やはり印象に残るは楽しいことばかりです。でも、苦しいことの多かった年は、その分だけ成長の著しい年だったと考えることもできます。子ども達のまとまりがなかなか出来なくて悩んだ年も苦しいのですが、親と親との関係が改善されずに残った時は、次の学年のクラス編成にまでひびいて来ます。小学校は長いので、1年生でひっかかると卒業の6年まで先生達は悩みます。子どもは毎日顔を合わせているうちに相手への信頼を回復したり、ふたりの関係の中でわかり合う時が必ず来るのですが、月に1度ぐらいしか会うことのない親達のこじれを直すのは容易ではありません。最近はメールで色々発信する方も多く、ツイッターでも何となくつぶやいたことが大きく取り上げられて、ますますこじれが病的になっているようです。会って話せばお互いに分かり合えることでも、糸がもつれた様になって人間関係がますます悪くなり、人の心は荒れていっているようです。私の教師時代は、その意味でとても問題のない頃だったので、どんなにこじれた時でも短い時間で修復することができました。隠れてメールを打って表面はにこにこしているといった二重人格的な風景はありませんでした。今、学校の先生の悩みを聞いていると、生の会話がなくなったことのかさついた関係が見えて来るようです。それだけ人間関係が複雑になったのでしょう。人類は、新しいものを手に入れる毎に、何かを失っているのだなあと考えさせられます。