『思い出さがし』 24・なわとびを見つめて
なわとびを飛んでいる年中さんが何人もやって来て、私の目の前に並んで跳ぼうとします。その様子を見ていると本当になわとびの楽しさを知っている子がわかります。まず、並んだ仲間を見て列から離れて場所をゆずる子は自信のある名人です。あまり近づくと縄がからみ合って飛べないことを知っているからです。その上で自分のまわりを見つめて、人通りの少ない場所を確保しています。「見て見て。」とやる気ばかりが先行する子は、縄が回る距離などお構いなしです。とにかく跳べるところを見てほしくて縄を強引に回し始め、隣の子や前の子にぶつかって文句を言ったり「あっちへ行って。」とけんかと吹きかけたりします。気の弱い子は失敗したと思ってか、テレながら退いて行きます。その場で余り移動せずに跳べる子は、50回60回と跳べますが、前へ前へと動く子は、誰かとぶつかります。その時相手を悪いととるか、自分が悪いととるかでその子がなわとびを本当に知っているかがわかります。縄の回る範囲を体感できている子は、たくさん練習している名人です。そんな子を眺めているだけの子が何人もいますが、その眺め方を見ていると、その子達がなわとびにどれだけチャレンジしていくかがわかります。にこにこして見ている子の表情に時々「あぶない。」といった表情が表れるのは、自分も跳んでいる子なので自分の遊びに戻っていく子は、時間がかかりそうです。なわとび1つ見ていても、その子の性格や仲間関係が分かるので、子ども達の姿を見つめることには深い意味があるのです。
2012年02月13日 13:38