『思い出さがし』 ⑲新しい年の初めに
新しい年が明けました。今年はどんな年になるのでしょうね。昨年よりは少し幸せな年になる予感もありますが、あまり期待ができないというのが本音だと思います。東日本大地震の余波にドキドキしている地方もあると聞きますが、日本列島は地震があって当たり前の国なので、常に心の準備が必要なのでしょう。でも、のど元過ぎればでいつの間にか忘れてしまうのが人間です。忘れることがないと疲れてしまいます。私が小学6年生の6月に、福井の大地震がありました。市内を走っていた電車がグラグラ揺れて今にも倒れそうでした。母方の祖母がバスで田舎に帰るというので、バスのキップを買いに売り場まで行った時にグラッと来て、思わずしゃがみ込んだ祖母は「いなおり、いなおり。なんまんだぶ、なんまいだぶ。」とつぶやいていたのを思い出します。「いなおり、いなおり。」ってどういう意味?と聞くと「静まってくれ。怒らんといてくれ。と言うことや。」と言って手を合わせていましたが、語源はわかりません。ようやく静まった頃祖母は大地に手をついて「あんやと、あんやと。」と何度も頭を下げていました。自然の恐ろしさをイヤというほど分かった上で、怒りを静めて下さった天地に祈りと感謝をささげる祖母を見て、人間と自然とのつながりを考えさせられたのでした。あれから60数年地震は繰り返えされており、自然の猛威の前では人の知恵はひとたまりもありません。自然との共存をしていくための知恵を磨く必要があるのでしょうね。今年もよろしくお願いします。