『思い出さがし』 228・子どもの夢④
夢見る夢子さんであるメルちゃんと、夢見る夢男さんといっていいのか、楽しい会話を期待して日曜日を迎えました。出会ったのは幼稚園の玄関で、たくさんの絵本がならんでいました。「あっ、これぼく読んだことある。つばめが出てくるんだよね!」と2人は兄妹のように肩をくっつけて絵本を手にとっていました。「いいなぁ。こんなに絵本があったら毎日読みたいなぁ。図書館みたい。あ、これ15少年漂流記って書いてあるけど本当は二百十日間の休日とか言うんじゃない。詳しくは知らないけど少年たちだけで集団生活をするんだよ。冒険物語だよ。」「ふ~ん、私はね、三年寝太郎とか、かもとりごんべえさんが好き。だってパパいつも読んでくれたの。そうするとね、その夜カモと一緒にとんでいる自分の夢を見るのよ。」「君も夢を見るの?ボクね白雪姫と7人の小人のお話を読んでもらった夜、7人の小人達と踊った夢を見たんだ。」「お話ってすごいよね。絵本のお話の中で自分が舞台の上にいる様に見えて楽しいよね。」「いいな、きみは。」「どうして?」「だってぼく5年生になってからあんまり夢を見なくなってね。イヤなことがあった日は、電車にひかれそうになって目が覚めるんだ。」「辛いよね。元気がなくなるよね。私は毎日パパママに絵本を読んでもらうからかな、すてきな夢を見るよ。」「あ~そうか。やっぱりオレいやボク、パパに本読んでもらうといいんだね。この本貸して。」そう言って借りて行った本は『ごんぎつね』でした。
2016年08月01日 23:57