『思い出さがし』 202・うさぎのランちゃん③
その頃からランちゃんはサクの近くでSちゃんを待つ様になったといいます。「私のことを待っているランのことを思うと、いつも胸がドキドキして嬉しかった。」とランを小屋の端っこでジッと待っている姿が絵本の頁をうめていました。自分を頼りにしてくれる人がいることは、大きな喜びだったのでしょうね。やがてランちゃんはSちゃんの呼びかけに反応し、声を聞くとピンと耳を伸ばして声のする方を見る様になり、近くまで走って来る様になったのです。右耳の先が5cmほど折れ曲がっているランちゃんを見て、「変な耳、ちゃんと伸ばせ!」と大声で、はやしたてる男の子達を見てSちゃんは何も言えず「ごめんね」と心の中で呟くだけだったのです。でも、優しい子も沢山いて「かわいそうや、一番かわいいのに耳にケガしとるね。誰かにやられたんかね。動物病院で治してあげるといいのに・・・。」と言う子もいてSちゃんもランちゃんのエサやりを楽しんでいたのです。絵本の中のランちゃんはいつも丸い赤い目をパチクリさせて前足をあげている姿が印象的でした。ある日、学年だよりでウサギの新しい赤ちゃんが生まれたので大きくなったウサギを飼いたい人は、両親のお許しを待って申し込んでほしいというニュースが飛び込んで来ました。Sちゃんは毎日の様に報告していたランちゃんのことを飼いたいと両親に頼みました。次の子に恵まれなかった両親は、すぐに賛成してくれたそうです。ランちゃんは入れるゲージを買い、教頭先生からエサも頂いてランちゃんとの生活が始まりました。
2016年01月15日 23:58