『思い出さがし』 166・出会い④
おばあちゃんが背中を丸くして敏ちゃんを抱っこしている姿はとても切なくて、でも温かいものでした。その日、私は1人で道端に咲いていたクローバーの葉を見つめながら、いつの間にか四つ葉のクローバーを探していたのです。白詰草と呼ばれるクローバーには白い花が咲いていました。その花を摘みながら、そして花の頭をそろえて花輪を作りながら四つ葉のクローバーを探しました。1人で遊ぶことが久しぶりだったので時間の立つのを忘れて田んぼ道の真ん中まで来ていました。ゆっくり腰を上げると花輪はレイのできる長さになっていました。白詰草のレイを作り上げると、どっと疲れた私は、クローバーに包まれてしばらく休みました。ふと目を開けると目の前に四つ葉のクローバーが風にゆれていたのです。歩いても歩いても見つからなかった四つ葉のクローバーが私を待っていた様に目の前にあったのです。「あった!あった!」私はひとりで大声を出し、目を皿にしてクローバー群を見つめました。そして驚きました。10cm四方に1本のあたりで見つかったのです。種類の違う群れだったのでしょうか。20本ほど摘んでレイと一緒に持って田んぼ道を走りました。「敏ちゃーん!」と叫びながら、その思いが通じたのでしょうか、敏ちゃんが玄関の前で空を見上げている姿を見つけました。レイを首にかけ四つ葉のクローバーを渡すと、えくぼの笑顔で受け取り「ありがとう!!だあいすき。」と言ってくれたのです。
2015年04月25日 23:13