『思い出さがし』 150・家庭の空気④
子育てサークル見学の体験から、子どもは生まれた所の人間関係の中からその空気に染められて行くのではと思い続けていたことを確認する結果になりました。そして、どの子にも共通する所は「愛されたい」という熱く切ない思いでした。1人の子を抱き上げた時、全員が悲鳴に近い声を出して私に両手を差し出した時のことを忘れません。まだまだ親の温かいヒザやフトコロや笑顔の中にいたい1才児達。1対1の時間が欲しい1才半の幼児達は満たされない思いを抱えながら必死に毎日を生きているのだと思うと切なくなります。あの時の10人ぐらいの子ども達はひとりひとりにタッチされたことで食事が進んだと聞いて(やっぱりそうか)と思っていると、その時の保育士さんがしみじみと「毎日、体に触ってやって、どんな短い時間だろうと笑顔と共にタッチしてやらないとダメなんですね。頑張ります。」と言われました。小さい時に心の穴を埋めるのは穴が小さいだけに時間をかけずに埋めることができるのです。ほんの一瞬でも、ほっぺを合わせた子は私のことをしっかり覚えていてニコッと笑いかけヒタイを突き出して、あの時の再現を要求したのです。見学して2ヶ月後のことでした。私が忘れたことをその子は覚えていたのです。わずか1才半なのに――。大人が何となく通り過ぎて行くことも子どもにとっては大きな日常なのです。その小さな積み上げがその子の心身の中に空気として貯えられていくのです。考えたら恐ろしいことなのだと実感しました。反省しきりです。許されることを願うばかりです。
2015年01月03日 23:56