『思い出さがし』 148・家庭の空気②
飲めない牛乳を友達の励ましで「よし、飲んでみよう」と決心したK君が、もう一度しっかり座り直して牛乳と向き合おうとして力が入り過ぎコップを倒してしまって結局飲めなかったのです。せっかく仲間から励ましをもらったのに結果的に仲間の信頼に応えられなかったことが残念で泣いてしまったのでしょう。そこへ追い打ちをかける様なH君の言葉に打ちのめされて返す言葉のなかったK君。こぼれた牛乳をさっと立ち上がって雑巾をさがして拭き取ってくれたM君。とても素早い動きでした。こぼした相手を責める様子は全くなく、今、何をすべきかをすぐに理解して行動できる子でした。C子ちゃんは泣き出したK君の背中を優しく抱いてさすっていてママの様でした。いつも自己主張をしっかりするので一目置かれていたA子ちゃんは、小声のH君の言葉にはっきりと意思表示をしました。頑張って飲もうとしていたK君の気持ちをちゃんと受け止めていたのです。「K君、今日頑張ろうと思ったんやし、今度こそ一緒に飲もうね。」と言ったのはA子でした。グループのみんなは「うん」と顔を見合わせてほっとした笑顔を見せました。K君が「ありがとう。」と呟くように言ったのが印象的でした。各家庭で育てられて身についている『しつけ』と呼ばれるものは、その家の空気として子ども達の心身の中に存在し、いつも本人の中から生まれて来る空気の様なものだと思えるのは間違いでしょうか。
2014年12月19日 22:28