『思い出さがし』 147・家庭の空気①
沢山の子ども達に接して来て思うのは、その子の育った家庭の空気です。学校でも幼稚園でも年令が低い子はストレートにその空気を伝えてくれます。年中組のK君は牛乳が余り好きではありません。コップの中のわずかな牛乳をなめる様にして口へ運んでいます。回りの3人のA子、C子、M君が各々の言葉で励ましています。M君は「ぼくんちのワンちゃんも舌で少しずつ飲んで空っぽにするよ。ガンバレ!」と応援です。C子は「においがイヤなん?味がイヤなん?においがイヤやったら鼻つまんで飲み込んでみればいいよ。」と体験を話します。A子は「味がイヤならパンにつけて見たらいいよ。私も小さい組の時、やってみたら飲めたよ。」と説得しています。友達に言われてイスに深く腰掛けようとした時、コップに触って牛乳がこぼれ出ました。丁度その時、グループの横を通り過ぎようとしたH君が「わざとこぼしたんやろ。」と小さな声でK君に言ったのです。K君は、しくしく泣き出し、M君は雑巾で机の上を拭き、C子はK君の背中を撫でて、A子は「せっかく飲もうとしたのに変なこと言わんといて。」と少し怒っています。あぁ、子どもは、その家の空気を心身にまとって来ているのだなと思いました。
2014年12月12日 23:08