『思い出さがし』 145・子どもは見ている②
「良いことと悪いことはくっついているもんや。」と言ったある男の子のことを思い出します。彼は1年生の元気な子で、どちらかというとアウトドア派でした。年長の夏休みに祖父から自転車をプレゼントされました。毎日練習した彼は、スポーツ好きな子なので見る見る上達し、学校入学前にスイスイ乗れるようになりました。おじいちゃんといつもサイクリングロードみたいな場所で練習するのを見ていたので、早い時期に補助輪を外して走っているのを見て感心していました。1年生になる春休みの4月1日だったと思いますが、事故にあったと聞きました。ちょうど1年生の担任となった担任発表の日だったので忘れることができません。早速名簿を見ると彼の名前が書かれていました。そのO君に電話をするとおじいちゃんが出られました。「すみません。私が悪いんです。近所でもあまり乗れる子がいないので私が自慢するもんで、いい気になって乗る回していたんでしょう。入学式までにはなんとか治しますのでよろしくお願いします。」と涙ながらのお返事でした。入学式、左膝に厚い包帯を巻いたO君に出会いました。歩くのひ不自由はなさそうでさしたが、イスにかける時に少々痛そうにしていました。「大丈夫?もう少し高いイスにしようか?」と声をかけた時「大丈夫。良いことと悪いことはくっついているもんや。」と答えたのです。「ぼくの足を見て、みんな優しくしてくれて、たくさんの先生がぼくのことを覚えてくれたもんね。」すごい1年生でした。
2014年11月14日 23:20