『思い出さがし』 144・子どもは見ている①
「園長先生、私、お姉ちゃんになったよ。」「やったぁ、おめでとう!赤ちゃん可愛いでしょう。男の子?女の子?」「女の子。」「お兄ちゃんも妹もいるなんてすてきね。」「でも、お兄ちゃんは男の子が良かったんだって。」「そう、きっと戦いごっこがしたいんだね。」「ちがうよ。お父さんが『女の子かー』ってガッカリしたように言ったんだって。」「大丈夫よ。次は男の子だよ、きっと。」余り納得できない顔になったので、赤ちゃんの動きについて質問するとパッと表情が変わり「可愛いお口であくびするよ。」「お手々も、もぞもぞって動かすよ。」「時々お目々を開けると可愛いよ。」「おっぱい飲んだ後にゲップするとねんねするよね。」とすぐ近くでじっくり赤ちゃんを見ているお姉ちゃんの言葉が続いていました。2,3人のクラスメイトが加わって生まれて来た赤ちゃんを自慢していました。いいお姉ちゃんたちだなと思って聞いていましたが、その中で初めてお姉ちゃんになったK子ちゃんが「でも、お姉ちゃんっていっぱい我慢せんなんね。」と言い出しました。その一言で全員が顔を見合わせて「そうや、そうやよねぇ。」と声のボリュームが上がりました。「ママ忙しいし、我慢しとるんや。」と私の膝に手を置く子が何人もいました。子ども達は父や母の表情や様子をよく見ているのです。
2014年11月07日 23:47