『思い出さがし』 132・夏休み③
身も心もリラックスしてキャンプを終えた家族は、来年の再会を約束して元気にバイバイをしました。4才の男の子はもう一晩泊まりたいと言いながらも来年を楽しみにしてマイカーに乗り込みました。お姉ちゃんは「来年はログハウスの小さな家に泊まろうよ。だって蚊や虫がいて気持ち悪いし、テレビも見れんもん。」と少々ご不満のようだったといいます。走り出した車の中で、お母さんと女の子は、すぐにコックリコックリ眠り始め、男の子は父親に「来年はバーベキューにしようよ。保冷ボックスにお肉いっぱい持って行こうね。」と後ろの座席から父親に話しかけます。海岸べりのS字形の道路に運転手として気を付けながら息子の話を聞いていた父親がカーブを曲がり切った所で「ダメや!パンクかも知れん。」と運転速度を落として道の隅っこ停めました。「エンジン切るから窓を開けるよ。」と言って車外へ出ていきスペアのタイヤを取り出しジャッキを工具箱から出して入れ替え始めた父親の後から降りた息子は「お父さん、僕にできることない?」といって車をジャッキで上げて腰をかがめてボルトを外している父親に話しかけたようです。「大丈夫!でも、できたらタオルで汗を拭いてくれると嬉しいな。」と答えると「よっしゃ!」と言って車の中から大きなタオルを持ち出したのです。それはバスタオルでした。お父さんは「おっ!ありがとう!ドアのポケットの中にある手拭いや軍手を持って来てくれるか?」と注文するとすぐにドアを開けて持ってきてくれました。急に暑くなった母と娘が起き出して来ました。手伝ってくれるでしょうか?
2014年08月16日 22:58