『思い出さがし』 127・絵本②
レストランで絵本の上に食べ物をこぼし始めた男の子を叱るママと後片付けをするパパ。友人の娘さん夫婦と一緒にすぐ隣のテーブルで見ていたのでどうなることかと見ていると、絵本の中が見えました。「しろくまちゃんのホットケーキ」でした。きっとレストランで注文したものが来るまで、楽しく読み聞かせをしようと思ったパパとママだったのでしょうが、両親の思うようにはいきません。ママは「大好きなくまちゃんが泣いてるよ。」と少し恐い顔で話しかけてますが「くまちゃんに食べさせるんだ。」と言い、絵本にスプーンを立てながら「はい、どうぞ。」と言っています。パパは「くまちゃん、もうおなかいっぱい。」と言ってなだめていますが「ちょうだいって言ってるよ。」と負けません。「じゃ、パパが食べるね。」と絵本の上のこぼしたお子さまランチをきれいに別の皿によけていました。ママはだんだん混んで来るお店の中でイライラしたのでしょう。「もうおしまい!」と強く言って絵本とお子さまランチを取り上げてしまいました。「イヤだー!ぼくの本だーぼくのくまちゃんだ!」と大泣きです。お子さまランチに乗っていたアメリカの旗を振って涙をポロポロ。2才児らしい泣き方でかわいいのです。助け船を出そうと思った時、係の方がおもちゃを持って来て下さったところ、ピタッと泣き止んで小さな消防車をじっと見つめています。「帰りにお渡しするつもりでしたが、今持って来ました。」男の店員さんは優しくそう言って「いい絵本だね。うちの子も大好きです。」と言って男の子の頭を撫でて行かれました。絵本の好きな店員さんのことを思い出します。
2014年07月11日 23:09