『思い出さがし』 123・習い事②
我慢の日と言って笑顔で踊りの練習をしていた志保ちゃんが、1年生を迎える会で見せた花笠踊りは見事なものでした。十数名の子ども達の中で、その手つきや身振りの美しさは群を抜いていました。間の取り方や次の動作に移る時の流れる様なしなやかさは、先生の目を奪い「すごい子だね。」と言われて、我が子のことを言われているようで嬉しかったのを覚えています。お母さんにそのことをお伝えすると「本当ですか?お稽古の嫌いな子なので、他のことをさせようかと悩んでいたのですが、そんなに目立ちましたか?あの子も頑張ったのですね。最初怒ってばかりいて、運転して下さるおじいちゃんに、無理をさせるなら止めさせなさい。と注意されたこともあるんです。でもあの子は体も小さいしスポーツは苦手のようなので、ある時日舞の発表会に連れて行ったのです。その日帰って来て鏡の前で夏の浴衣を着て嬉しそうに踊っている志保を見て、これだ!と思ったのです。皆さんスイミングやピアノやそろばんや絵を習っておられるので、本人も何かしたいと思っているのでしょう。日本舞踊の会にはとても乗り気になって、遠い所までおじいちゃんにお願いしたのです。ありがとうございます。嬉しい日になりました。あの子との約束を守ります。先生やお友だちから誉められたらおじいちゃんの車で一人でお稽古に通う約束をしたのです。」と涙を拭かれました。志保ちゃんの強さと優しさが伝わって来ます。きっとお母さんに似たのでしょうね。
2014年06月13日 22:58