『思い出さがし』 122・習い事①
昔、日本舞踊を習い出した女の子がいました。6歳の6月6日から習い始めたとのことです。本当にかわいくて、日本人形の様な子でした。クラスでは背順で一番先頭でしたが、利口な子だったのでクラスはよくまとまりました。遠足、散歩、運動会と一年生としては出来すぎるくらいの存在感のある子でした。ただ1つ気になったのは、習い事の日になると朝から元気がなかったことです。ある日思い切って「踊りは嫌なの?」と聞いてみました。すると強く頭を振って「ううん!行くまでがイヤなの。」との返事です。「どうして大好きなお母さんとおじいちゃんの車で行くんでしょう?」と聞くと「それがイヤなんだ。だってお母さんがね、車の中で前の日のおさらいだよって言って手や頭の動かし方を何度も練習させるの。それがイヤ!」「そのことをお母さんに話したの?」「・・・だってお母さんに悪いから言えんもん。」「そう、えらいね。我慢してるんだね。でも踊りが大好きならお母さんに車の中ではもっと楽しいおしゃべりがしたいと言えばいいと思うけどな。」「そうなんだけど、お母さんも一生懸命だと思うし言えんがや。」7才になるとここまで考える子がいるだと思うといじらしくて「先生あなたのことをもっと好きになったな。お母さんも今はあなたを守っているけれど、きっと信じてあなたの好きな様にして下さるよ。きっと!!」その後彼女は習い事の日を我慢の日と言うようになり明るくなりました。
2014年06月06日 23:09