『思い出さがし』 234・子どものつぶやき③
親がけんかをした日のことを、子ども達はよく覚えていて、その時の気持ちを伝えてくれる。幼稚園児は「ママ泣いて2階へ行った。」とか「パパお茶碗投げた。」とか現象を話してくれるが、小学生になるとその時の気持ちも話してくれる。「やばい!ママだんだん声が高くなったと思ったらやっぱり頭のてっぺんから声が出て、玄関の戸をピシャッと閉めて出て行った。なんかお芝居を見とる様やけど悲しくてショックだった。帰ってこんかったらどうしようと妹と一緒に裸足で外に出た。」等リアルに語り目のふちを赤くしています。「妹さんと一緒やと心強いね。」と言うと「そうなんや、1人やったら僕泣いて暴れたと思う。」妹と手をつないで表をウロウロしていたらパパが迎えに来てくれて「ごめんな。」と言って2人を抱き上げてくれたと話してくれる。妹ほまだ小さかったらしく「ママ、ママ。」と泣くのでそれにつられそうになってパパの腕をギュッとつかんだという。やっぱり泣くのは男の子じゃないんだというプライドがあるのだろう。「すごいな。兄ちゃんは強い。妹のこと守ったんだ。」とおませな女の子のクラスメイトに誉められたお兄ちゃんは、私の隣で小さくつぶやきました。「ぼくは心の中は大雨だったのに誰も分かってくれん。」声が少し震えていました。彼の手を握りしめるとギュッと握り返してくれました。
2016年09月18日 23:57