『思い出さがし』 85・友だち作り①
新学期に入ると母親は先生との関係も気になりますが、友だちが作れるかどうかがとても心配です。毎日「今日は誰と遊んだの?」と聞く親に対して、初めは「○○ちゃんとブロックしたよ。」と答えてくれるのですが、毎日毎日同じ質問をされると男の子は「忘れた。」「名前わからん。」「10人と遊んだ。」「遊ぶ時間なかった。」等と答えます。「今日は一人で本読んどった。」「○○ちゃんのおままごと見とった。」「一人でブロックしとった。」等と、友だちと遊んでいない答えを聞くと、心配になって担任に電話をかけて来る方がおられます。「今日は積み木を高く積んで、倒れるのを楽しんでいましたよ。」と担任の声を聞くと「困った。うちの子はウソをついているんだ。二重人格かも知れない。」と真剣に悩む方がおられます。その真剣さが恐いのです。子どもは常に前を向いて明日を見つめて生きています。振り返ることがとても苦手です。毎日毎日「今日は誰と遊んだの?何をしたの?」と問いつめられると、振り返って記憶を整理しなくてはなりません。面倒な作業です。だから「忘れた。」「だれか憶えとらん。」と答えるのです。「お母さんも子どもが『お母さん今日お家で何しとった?』って毎日聞かれると閉口しませんか?」と言うと「ええ、そうですよねぇ。」と納得されるのですが、あまり問い詰められたあるお子さんは「ママ、そんなに心配なら毎日ママも幼稚園来たらいいよ。そしたらわかるから。」と言われて「参った。」と方向転換した方がおられます。