『思い出さがし』 83・卒園児の思い出
私は今年で81回の卒園式を終えました。100名を超える年もあり、第1幼で3779名、第2幼で2411名の卒園児達が巣立って行きました。46年間に両園で6190名の子ども達の幼児期を見てきたことになります。病気や事故で亡くなった子も何人かいます。担任の先に他界する悲しさを今も思い出します。残された両親の胸の内を思うとかける言葉もありません。でも、その悲しみを超えて笑顔を消すことなく、時々声をかけて下さるご両親にお会いすると、その子の残した歳月が、ご両親の支えになっていることがわかります。「あの子はたくさんの先生に愛されて、のの様のところへ行きました。今ごろは幼稚園での楽しい思い出を何度も思い返しながら、私達を見守ってくれていると思います。あの子が卒園式で歌った『大きい木』を大声で歌いながら、木の精になってすぐ近くで私達を守ってくれているのだと信じています。青竜の思い出は私達家族の支えです。」すっかり白髪になられたお父さんとお母さんは、息子の持ち帰った自分だけのアルバムをとても大切に保存下さって、折にふれ見ておられる様でした。静かな日々の中で、幼児期の楽しい写真をめくりながら「『生きていたらもうすぐ50歳になるんだな。』と主人が息子の写真に頬ずりをするのですよ。」と老婦人となられて、ますます上品になられたお母さんの目に涙があふれていました。