『思い出さがし』 80・表現会を終えて
表現会が終わると、子ども達はひと回り大きくなって見えます。特にひよこ、ことり組は曲がかかるとどんな役でもこなします。ひよこ、ことり組が初めて単級になり、同じ年令の子だけで保育をする様になった頃から、年少組は何となく話題の外に置かれる様になったと担任は嘆く様になりました。それは、ひよこ、ことり組がとても可愛らしくて、今まで可愛らしさを誇っていた年少組の評価がぐんと下がったからです。カメラを向けてどんなアングルから撮ってもかわいいひよこ、ことり組に年少組は負けてしまいます。乳幼児がかわいいのは、神様が、親が可愛い子どもを育てようと思うことができる様にするためだということです。たしかに機嫌の良い時の乳児は誰が見ても可愛くて抱きしめたくなります。でも調子の悪い時は捨ててしまいたくなる程厄介な存在です。虐待もそんな時に起きるのでしょう。自制心のある親は、そこをしっかり乗り切り、可愛い我が子の様子をしっかり肯定し、機嫌の悪い時の我が子の受け入れを工夫するのでしょう。それが親の愛というものかも知れません。こうして幼稚園で一番可愛いかった地位を奪われた年少組は、可愛さを譲って賢さを表現するようになりました。日常保育でも、少しお兄ちゃん、お姉ちゃんぶって分別のあるところを見せています。「ここさわったら、あぶないからね。」「この色はね、むらさきって言うんだよ。」「お友だちたたいたら痛いよ。がまんしてお口で言おうね。」と顔をのぞいて説得している姿をよく見ます。