『思い出さがし』 56・運動会について①
秋は運動会のシーズンです。昔は春に小運動会、秋に大運動会を実施したこともあります。運動会を楽しみにしている子にとっては嬉しい限りですが、苦手な子は病気にならないかと思ったりする様です。勉強もできて運動もできる子にとっては、連日の練習も苦になりませんが、勉強も運動も苦手な子にとっては暗雲の季節だったと思います。小さなケガを大きく報告したり、少しの発熱でも大げさにしたりして、担任の先生を困らせていた時代がありました。でも、勉強が苦手でも運動の大好きな子にとっては、自分を認めてもらえる輝きの時でもあり、生き生きとその時期を生きていた様です。私が担任をした3年生のゆたか君は勉強はクラスのトップでしたが、運動関係はどうも苦手で、特にかけっこはどのグループに入っても最後尾を走っていました。ドッヂボールをしていてもボールが当たってから手を出すような一歩遅れた動作がユーモラスでみんなに笑われていたのです。でも勉強では誰も敵わずみんなに一目おかれていたので、みんなからはバカにされずその愛すべき動作にホッとしていたのかも知れません。勉強の大嫌いなつとむくんがいつもドッヂボールの時はゆたか君のすぐそばにいて見守っているのがわかりました。どこかに弱点があると謙虚になるタイプのゆたか君だからこそ、みんなに受け入れられたのでしょうね。秋の大運動会の日、つとむ君はリレー選手として全校リレーに参加することになりました。(続く)